メールマーケティングの歴史と現在
※このテキストは『デジタルマーケティング連続講座⑨ 文章力よりも再現性。メールマーケティングの正しい運用方法』の書き起こしです。文中の登壇者名表記は敬称略。
黎明期から現在までの変遷
池田:皆さん、こんばんは。今週もやってまいりました、毎週木曜日のMARPSでございます。引き続きデジタルマーケティング連続講座の回を開催をしております。今日は折り返しましたね。2月13日で9回目の講義になります。メールマーケティングについて安藤さんをお迎えしております。
そしてこのメールマーケティングなんですが、今日も続々とご入室いただいてますが、400名を超える申し込みをいただいています。このメールマーケティング、紐解くとめちゃめちゃ古くからあるじゃないですか。
Amazonにもうこんな画像しかないんですが、これ全部2000年に出ている本なんですね、3冊とも。今はもうメールと言いますが、昔はメールと言ったら普通のメールなので、このネット上のメールをEメールとちゃんと分けていかないといけないという時代だったんで、全部本のタイトルがEメールマーケティングなんですね。
当時はOne to Oneマーケティングが走り始めた1995年に、多分日本語訳された初めての『ONE to ONEマーケティング』という本が出て、1998年ぐらいに『顧客識別マーケティング』。
顧客は全て同じじゃないと、いっぱい買ってくれているお客様もいればそうじゃないお客様もいるという、先週CRMの回で学びましたが、あの時にもよく出てきた言葉に「顧客を識別するんだ」とありました。
ロイヤルのお客様、普通のお客様、あんまり買ってくれない一般のお客様を識別してセグメントを切って、しっかり優遇していくことでライフタイムバリューを、みたいな話がありましたよね。
あれも1997年とか8年ぐらいに本が出て、そこから結構始まっているんですね。そこからセス・ゴーディンさんが、むやみに全部連絡をしてもだめよと、ここにもありますけどもパーミッションですね。
この1999年とか2000年ぐらいにセス・ゴーディンさんのパーミッションマーケティングという本が出て、ちゃんとお客様にパーミッションされる関係を構築した上で、識別した顧客に対してしっかりとカスタマイズしたメッセージを送っていきましょうみたいなことが始まったわけです。それがもう今や25年前なんですね。
なので以前、今はもうそんな人いないんですけれども、以前は結構「いやもうメールマーケティングなんて古いよね、終わったよね」みたいなことを言い出している方もちらほらいましたね。
2010年代ぐらいは結構いた記憶があります。でも今や「いやいや、メールめちゃくちゃ重要だよね」みたいな話にちゃんと健全に戻ってきたかなと思います。
で、今日は2024年の夏、7月に出たこの『メールマーケティングの教科書 決定版』です。もうこのMARPSのデジタルマーケティング連続講座でこのテーマをお話しいただく方としては、安藤さんをおいて他にいないだろうということで、今日は満を持して安藤さんにご登場をいただくという回になっております。
運用されていらっしゃる方すごく多いと思うんですが、意外と古くて新しいというか、めちゃめちゃ奥深いのがこのメールマーケティングの世界ですから、本当にこの世界で経験を積まれてきて、その経験するだけじゃなくて抽象化をしながら、その基本から応用までを分かりやすく教えてくれる方なので是非楽しみに聞いてください。
講座の位置づけと本日のテーマ
さあ。ということで、いつも通りMARPSのお話ししておきますが、マーケティングはとにかく幅が広くて1個1個の奥は深いと。メールマーケティング1つ取ったってめちゃ奥が深いと。
この1個1個の奥が深いところを学んでいくことも大事なんだけれども、奥を深く掘りすぎるとズームインしすぎて、全体感が分からなくなっちゃうということでしたよね。
なので全ての施策というのは、この点の課題を解消して線として繋げて現場で成果を出していくためのものですが、1個1個の点にフォーカスして学びすぎちゃうと、体系だったり全体だったり俯瞰みたいなところが分からなくなって道に迷っちゃうんで、MARPSはとにかく面を示すので、今どの点を学んでいるのかといったところを強く意識しながら、全体理解をして点の理解を深めていくということを、是非やっていってください。
デジタルマーケティング連続講座という名前ですが、デジタル時代におけるマーケティング連続講座という位置づけになっていますんで、リアルに対してデジタルを追加をしていくという時代はもう終わり、ありとあらゆるものがデジタル化した中においての今までのマーケティングをデジタル時代に適合させていくという考え方で是非1個1個の講座を聞いていってください。
この連続講座ではこのピンク色に塗ってるところを1個1個学んでいってもらってるわけですけれども、メルマガはこの右の赤く塗りつぶしているところなんですね。
でも今日この資料を準備していて、これでもメルマガって僕はポストマーケティングの右側の既存の顧客のところに対して行っていくという整理をしちゃっていたんですが、本にもこれでプリントされちゃってるわけですが、当たり前ですが普通に考えてみると、見込み顧客だったりこれから顧客になっていってもらいたい方々もメールで繋がりながら関係の構築ってしてるわけですよね。
なので本来であればここのところの右側とこっちの左側の潜在顧客とか認知興味の辺りにもこのメルマガを引っ張っていなきゃいけないと。なのでSNSの公式アカウントもそうですよね。右にもあるし左にもあるしという位置づけにちょっとこれ修正せなあかんなと気づきを得ましたので、これは今日以降きっちりと修正をしたいなと思っております。
ということで今日の時間はこれにて終わって安藤さんをお迎えし講義に入っていただき、最後10分15分質疑応答という流れになります。では安藤さんご登場ください。
講師の紹介
安藤:ご紹介ありがとうございます。改めましてよろしくお願いいたします。合同会社エスプーマの安藤と申します。2014年に前職、私、株式会社ラクスというところにいたんですけども、2014年に配配メールというメール配信サービスのマーケティングを担当することになります。最初は仕事上必要だったという形でメルマガについて学んでいったんですけども、そこから色々深みにはまって、もう半分ライスワークからライフワークぐらいになってしまった者です。
先ほど池田さんの紹介の中でもメルマガの本、20数年前の本ってありましたけども、実際問題本当にEメールマーケティングに関する書籍が全くなくてですね、私自身もすごく苦労しました。
実は海外では全然Eメールマーケティングに関する研究レポートというのはずっと行われ続けていたんですけども、なぜか日本だけでは少しそこが途切れてしまって20年ぐらい空白の期間ができてしまったという形になっております。
これは後進の苦労をみんなにはして欲しくないということで、昨年に書籍を出させていただきました。これはどちらかというと教科書的な内容で入門編になっております。なので皆様は会社の中でマーケチームに新しく入った子とかにお勧めいただければと思います。
今日はそれよりもちょっと実践的な少し難しめの内容になってくると思いますので、今から70分間ほどお付き合いいただければと思います。では早速お話しさせていただきたいと思います。
メールマーケティングの役割と「想起」の重要性
ナーチャリングに対する誤解
まずメールマーケティングの役割というところのお話です。ここにいらっしゃる皆様には今更説明するまでもないと思うんですけども、このファネルのイラストについてももう何回も見られたことがあるんじゃないかなと思ってます。
導入部分のお話ですのでお付き合いください。これはデマンドジェネレーションというフレームワークの概念図になってます。デマンドジェネレーションとは見込み顧客を獲得して営業部門に渡すまでの一連のプロセス全般のことです。
このプロセスにおいてメールマーケティングはリードナーチャリングのための有効な手段として語られることが多々あります。そしてリードナーチャリングに取り組む企業が思い描く一般的なナーチャリングの全体像、これがこんな感じになっているかと思います。
私、デジタルマーケティングのコンサルもやってますけれども、多くの企業さんがこのような設計図を作ってらっしゃいます。緑の矢印の部分はマーケティングチーム、青の矢印の部分はインサイドセールスチーム、赤の部分はフィールドセールスチームが担当する部分になっております。
最も問題となるのはこの各フェーズの移行要件なんですよね。どんな要件をもってして、各フェーズを移行させるのか。この移行要件が社内でコンセンサスが取れてないとワークしないわけなんですよね。
移行要件というのは具体的にどういうことかと言うと、潜在層とはどのような状態を指すのかというような各フェーズの定義の話、これから始まりまして潜在層が準顕在化する条件などを定量的に示したものです。
特にマーケティングオートメーションツールを使ってワークさせたいということであれば、この条件を客観的にデータで示せないといけないわけなのが非常に難しいと。
また要件定義したとしても、これら要件が受注までの一連のプロセス、それと合致してることがデータで裏付けられないと意味がないわけなんですよね。受注データ調査したら潜在と準顕在で受注率が変わらないなんて笑えない状態になってしまうってことも多々あるんです。
私が呼ばれるのもこの移行要件の設定に付き合って欲しいというパターンが非常に多くあります。フェーズごとにメールのコンテンツとかタイミングを出し分けて、自動でフェーズ移行されるように設計したいという依頼です。
しかしメルマガの役割はナーチャリングではないというところから本日のお話は始まります。正確に言うと、自社のCRMに存在する見込みのお客様をメルマガに対する反応だけで潜在から準顕在へといったような顧客セグメント間の移動はできないっていう話なんですね。
そもそもメルマガの開封率って10から15%ほどしかないですし、開封した人がメルマガを読むのはほんの7秒ほどなんです。そして読者となる方は1日に50通前後のメルマガを受け取っているんですよね。
こんな状態なのに自社のお客様だけはメルマガを毎回開いてじっくり読んだ上で態度や行動を変えてくれるなんて思う方がおかしい、そう思うんですよね。
じゃあメルマガは何のために存在するんだっていう話ですが、メルマガの役割っていうのは想起です。CRM上にいるお客様とメルマガを通じて接点を持ち続けることで、お客様が必要とした時に自社を思い出してもらう、その役割を持っているのがメルマガなんです。
メンタルアベイラビリティを高める
つまりメルマガの役割とは、キープ・イン・タッチによりメンタルアベイラビリティを高め、顧客が必要となったタイミングで自社を想起してもらうことになってきます。
そしてこのメンタルアベイラビリティを高めるのに最も適したものがメルマガであるため、マーケティング施策として重宝されています。
なぜメルマガなのかっていうお話なんですが、メンタルアベイラビリティとは簡単に言うと思い出してもらいやすさのことです。メンタルアベイラビリティを高めるためには一般的に接点を増やすことと接触回数を増やすこと、これが有効と言われてます。
接点を増やすっていうのは様々な媒体を複合的に使用することで、お客様の目に触れる機会を増やすことです。リアルな店舗であったりとかデジタルの広告、また郵送DMなど、お客様と接点を増やす方法っていうのは様々あります。メルマガもそのチャネルの1つです。
そしてもう1つが接触回数を増やす、つまりお客様が目にする頻度を上げることですが、当然ながらお金がかかるものっていうのは頻度を上げにくいです。その点メルマガやSNSなどはそのもの自体は無料で配信することができるため、頻度を上げやすいという特徴があります。
またメルマガそのものの特徴として大きいのは、まだまだ企業において仕事上のコミュニケーションツールの主役はメールであるということです。
社内のやり取りであるとか既に取引関係にある方とのやり取りっていうのは、いわゆるスラックとかチャットワークとかチャットツールを使うことは多いですが、まだ見込みのお客様との間にあまりこういうチャットツールを使うことはないわけなんですよね。見込みのお客様とのコミュニケーションではもうメールが主流なんです。
次にメルマガっていうのはタイムライン型の広告ではなくストック型の広告であるっていう特徴があります。例えばなんですけどもXとかFacebookなどを出勤前の電車の中で見ていたら、なんか美味しそうな焼き鳥屋さんの広告が流れてきたとします。
退勤時間になって「そういえばあの今朝見たお店行ってみようかな」と思ってSNS開くんですけども、もうその広告には出会えないわけですよね。これがタイムライン型の広告です。その一方でメールっていうものは個人のメールボックスに溜まり続けるため、後で見返すっていうことができます。
メールは配信して1時間で85%の人が開くんですけども、残りの15%の人はそれから24時間をかけて徐々に開かれてきます。さらに1度開封したメールを後でもう1度見返すっていう行為も一般的に行われてるんですね。
そしてCRM上に存在する見込み顧客に対して配信をしてるため、どのお客様がメールを開いたのか開かなかったのか、またコンテンツのCTAをクリックしたのかしなかったのかということも分かります。
少し本筋から離れるんですけども、メルマガの件名で「フォーム入力不要」って書いてあるメールを受け取ったことがある方も多いと思うんですけども、ホワイトペーパーなどを受け取るのにフォーム入力しないでいいよっていうやつですね。
読者の方からしたら煩わしいフォームがないのでラッキーと思うかもしれないんですが、これメール配信してる側からしたら、ホワイトペーパーをダウンロードするURLを誰がクリックしたか、これ裏側のシステムで確認すればいいだけの話なんで、そもそも特段の事項がない限り元からフォームを挟む必要ないんですよね。
もちろんフォームに入力してもらうことで検討状況など最新情報を知りたいっていう理由はあるかもしれませんけども、フォームを挟むことで離脱してしまう人も多数いますので、その辺りは天秤にかける必要があるかなと思います。
話を戻しますが、メルマガは誰が反応したかが分かるので、営業が電話をかけたりとか次のアクションに繋げられるっていう特徴があります。つまりリーチできる幅の広さとマーケティング上の使いやすさが、メルマガが想起施策に選ばれる理由っていうことになってきます。
迷惑メール対策と配信の技術的基盤
スパムフィルターと認証技術
メールマーケティングの基礎に入る前に少しだけお話ししたいことがあります。まずは迷惑メール対策です。企業が配信したメールが正規のメールとして受信トレイに入るか、迷惑メールと判定されて迷惑メールフォルダーに入るかはスパムフィルターと呼ばれる機能にかかってます。
このスパムフィルターなんですけども、受信したメールの認証技術とIPレピュテーション、これを検査して毎回スコーリングをした上で通過させるか隔離するかを決めてます。
自社のメルマガが迷惑メールに入ったことでメール配信ツールを変更すれば解決するんではないかって言われることもあるんですけども、迷惑メールになる要因って1つだけじゃないんですよね。
ですので根本対策しないままメール配信ツールだけを変更しても事象の解決にならないっていうケースは山ほどあります。
じゃあスパムフィルターがチェックしてる認証技術とIPレピュテーションとは何か説明します。まず認証技術です。皆さんも楽天さんとかゆうちょ銀行さん、あとはクレジットカード会社などを名乗ったスパムメール見たことあると思いますけども、認証技術はこれらのスパムメールのようにメールの差出人情報を詐称していないかということを証明する技術のことなんですよね。
代表的な認証技術としてはSPF、DKIM、DMARC、BIMIなどと呼ばれるものがあります。これはメルマガのフロムアドレスに使用するドメインのDNSサーバー、ここに設定を書き込んだり、証明書を取得して設置するなど技術的な対応っていうのが必要になります。
ちょっとめんどくさいですよね。ただ1回設定してしまえば環境変化がない限りずっと有効ですので、これはもうさっさとやってしまいましょうっていうお話です。
次がIPレピュテーションですね。IPレピュテーションとはメルマガの送信に使用されているIPアドレス、グローバルIPアドレスですね。これをスパムフィルターが監視し評価することです。
どんな監視をしてるかと言うと、例えばちょうど出てくるんですけども「不達率」と言って配信リストのうちエラーとなったアドレスの割合を見たり、あとはメールのコンテンツそのものに詐欺に使用されやすいワードが頻出していないか、こんなこと見てます。
チェック項目は多岐に渡るんですけども、ある程度こうマイナスポイントってものが蓄積されるとメルマガの使用しているIPアドレスを迷惑メールの発信ポートとして認定する、こんな感じで決まってきます。どれか1つを見てるんではなくて複合的に判断されてることに注意が必要です。
Googleのガイドラインと最新の認証
また昨年にGoogleによってメルマガのガイドラインが大幅に更新されたことをご存知の方も多いんじゃないかなと思います。私も昨年は本当にたくさんのメディアから質問いただき忙しい1年でした。
改めてこのガイドラインを簡単に説明しますと、24時間以内に合計で5000通以上のメルマガ、これをGmailアカウント宛に送信する場合はルールに沿った配信をしないと受け取りを拒否するというものでした。
そのルールとは先ほど説明した認証技術への対応の他に、「List-Unsubscribe」ヘッダと呼ばれる登録解除の導線であったり、あとは迷惑メール率の抑制などでした。
それぞれにしっかりと対応できているかどうかっていうのはGoogleが無料で提供している「ポストマスターツールズ(Postmaster Tools)」というものがあります。ここに登録すると確認可能ですので是非皆さんご登録いただければと思います。
まだ確認できてなかったら本当に無料ですので早めにご登録をお願いいたします。このポストマスターツールズでオールグリーンの状態になってれば、ひとまずは問題がないっていう状態です。
ちなみにこのGoogleのガイドラインなんですけども、1日に5000通以上、個人のGmail(Google Workspaceを除くもの)を対象としてますけども、実は最近になってGoogle Workspaceも含め、このポストマスターツールズで確認できるものがオールグリーンになってないと迷惑メールとしての振り分けは普通にされてるようです。
ですので迷惑メールとして振り分けられてるかどうかって配信元は実は分からないんですよね。なのでこのポストマスターツールズを見ていただいてオールグリーンになっていなければ、ちょっとまずいなと思っていただくのがいいと思います。
Googleが求める認証技術としてはSPF、DKIM、DMARC、この3つだけだったんですけども、今後「BIMI認証」と呼ばれるもの、これも対応が義務化されるんではないかなと読んでます。
BIMI認証に対応するとメールの差出人情報のところに自社のロゴ画像を表示させることができるようになります。BIMI認証を設定するためには証明書の取得とDMARCポリシーの設定が必要になってきます。
以前はこのDMARCポリシーを設定してる企業があまりいなかったため、BIMI認証自体も一部の企業しか取り入れてなかったんですけども、今回のGoogleのガイドラインに合わせて多くの企業がDMARCポリシーへの対応を終えましたので、BIMI認証自体が義務化される下地が整ったと言えます。
今年か来年あたりにこのBIMI認証への対応も求められる可能性があるかもしれませんので情報にアンテナを張っておいてください。
特定電子メール法と遵守事項
次は特定電子メール法です。正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。これは平成14年に総務省から施行された罰則付きの法律です。
違反した場合、法人の場合は企業だけではなく行為者、メルマガを送信した人にも3000万円以下の罰金があります。
この特定電子メール法についてはオプトインとオプトアウト、つまりユーザーの同意に焦点を当ててる方が多いのですが、忘れられているというか意識が向いていない項目が2つあります。
1つ目は記録の保存です。ユーザーからオプトインを取得した記録っていうのを保存する必要があるんですね。紙の台帳で取得してるんであればその紙の保管ですし、フォームで取得してるんであればそのフォームのキャプチャーが必要になってきます。
また次が表示義務とオプトアウトですね。オプトアウトについては対応されてる企業さんがほとんどですけども、この表示義務に違反する企業さんは稀に見ることがあります。
特定電子メール法の表示義務においては表示する名前は送信者の正式名称であることが求められており、サービス名とかブランド名ではNGなんですね。なので企業が出すのはちゃんと会社名を書かなければいけないわけです。この辺りよく抜けてしまってる企業さんが多いのでご注意ください。
成果を測る5つの指標とKPIの考え方
不達率、開封率、クリック率
さて、それではメールマーケティングの基礎の話に入りたいと思います。まずメールマーケティングの成果は5つの指標で計測します。
その5つとは不達率、開封率、クリック率、反応率、購読解除率です。1つずつ簡単に解説します。
まずは不達率と呼ばれるものです。計算式は分母が配信リスト、分子がエラーアドレス数になります。この数値は瞬間的に5%未満、恒常的には1%未満であることが求められます。
この不達率が高いと先ほどお話ししましたIPレピュテーションの低下が起こる要因となるんですね。もし不達率が高い数値出てしまっている場合は配信エラーの中身を確認してリストを適切にクリーニングしてください。
次が開封率です。計算式は分母が配信成功数、配信成功数ってのは配信リストからエラーアドレスを除いたものですね。で分子が開封数となります。B2B企業ならば15%以上、B2C企業ならば10%以上が基準値となります。
ちなみに分子の開封数なんですけども、これはHTMLで受信した方からしか取得ができないです。テキストメールで受信した方がメールを開いてもこの開封数にはカウントされないので注意が必要になってきます。
開封率がこの数値を下回っている場合、最悪なケースとしてはGmailなどのメールプロバイダーから受信者に対して購読解除がオファーされることになるんですね。この数値が低い場合に見直すべきポイントっていうのは複数あるので詳細は後ほど詳しく解説します。
この開封率なんですけども、2021年からiOSでは正しい数値が取得できなくなっております。iOSの標準メールでメールを受信している場合、読者が開封したかどうかには関わらず、配信ごとに開封データが送られるようになってます。
つまり開封していなかったとしても配信元には「開封しましたよ」というデータが来てしまうんですね。アプリ追跡保護の一環としての取り組みであるということです。困ったことにこの流れにGoogleも乗るようです。
読者がメルマガを開封したことをトリガーにシナリオ組んでたり、営業が電話したりっていうアクションを構築してる企業はこれを機にプロセスの見直しが必要になってきます。
次はクリック率です。計算式は分母が配信成功数、分子がクリック数になります。1%以上が基準値となってます。このクリックこそがメールマーケティングにおいて最も重要な指標であるため、これも後ほど詳しく解説いたします。
反応率と購読解除率
次が反応率です。計算式は分母が開封数、分子がクリック数になります。先ほどのクリック率と混同されがちなんですけども、クリック率はCTR、反応率はCToR(Click To Open Rate)となる別の指標です。
分子がクリック数なのはさっきのクリック率と同じなんですが、反応率の場合は分母は開封されたメールの数になります。つまりメールを開封した人がコンテンツ内のリンクをクリックした数の割合を指す指標です。
なぜこんなクリック率に似たような指標が別にあるかと言うと、開封とクリックの連動性を確認するためなんですね。
例えばクリック率が思っていたよりも伸びなかった場合、反応率を見てない企業では配信タイミングとかメールの件名などの見直しを実施し、開封数を上げよう、こういう判断をしたことがあるんですが、つまり開封する人が増えればクリックする人も比例して伸びるんではと考えるんですよね。
一方で反応率を見てる企業の場合、クリック数が伸びなかった要因を件名とコンテンツの連動性に求めます。件名が読者が欲する情報と合致しているか、件名で謳ったコンテンツがちゃんと含まれているかってことなんですね。
もう少し分かりやすく具体例を見てみますと、平均的な開封率が15%、クリック率1%のある企業を見てみます。この企業はある日に配信したメールの成果は開封率が20%と平均よりも5ポイント増え、クリック率も1.1%と0.1ポイント増えました。
しかしこの結果を見て喜んでる企業はメールマーケティングを正しく理解してないんですよね。それはこの結果に反応率をプラスすることで一目瞭然になってきます。反応率は6.7%から5.5%に1.2ポイント下落してしまったことが分かります。
これは読者がメールのタイトルに興味を持って開封したにも関わらず、コンテンツは求める情報と異なっていたということを表してます。がっかりしてしまった読者の数は前回が1400人であったところ、今回は1890人まで増加してしまっているということなんですね。
つまりメールマーケティングを正しく理解する企業の場合はこの結果は決して喜ばしいものではないってことが分かるんです。このように反応率が低く出てしまった場合は配信対象に対して適切なコンテンツが配信できているかというのを見直す必要があります。
最後が購読解除率ですね。計算式は分母が配信成功数、分子が購読解除数になります。基準値では0.25%未満です。特定電子メール法で読者がメルマガの購読解除した場合、そのユーザーに対してはもうメルマガを送ることができません。
つまり企業側から見れば購読解除されないように注意深くコンテンツやタイミングを見極めなければならないですね。
気をつけなきゃいけないのは購読解除率がこの0.25%未満であったとしても、先ほど出てきたポストマスターツールズ、あっちで迷惑メール報告率っていうのを見てください。購読解除しないで迷惑メールとして報告しているっていうユーザーもいます。
そのユーザーの値が高い場合、これは今後Gmailからまた迷惑メール判定をされる可能性が非常に高くなってしまうので気をつけてください。
ここまで出てきた5つの指標をイラストにするとこういう形になります。赤いところが配信の度に見直すところで、緑のところが一定期間の配信結果を持ってして見直すところです。
成果を予測する公式と「シグナル」
そしてメールマーケティングにおいて最も重要なのがこのクリック率という話になってきます。そもそもメールマーケティングの成果っていうのは公式で表すことができます。
まず配信リストから配信失敗を引いた数、つまり配信成功数ですけども、これがメルマガによってアプローチできる最大数になります。
次がクリック率、読者がメルマガコンテンツ内のリンクをクリックし、商品詳細画面とか資料請求フォームなどのLPに遷移した割合をかけます。
そして遷移したLPでのCVRをかけると。これによって1回あたりの配信の成果っていうのが計算できる、予測ができるんですよね。
最後は配信頻度ですよね。この公式に自社の数値を当てはめることでメルマガを配信する前に成果を予測することができます。
今回、配信リスト数が4,000、平均的な配信失敗数が200の企業を見てみます。この企業では平均的なクリック率が0.8%、LPのCVRが10%だったとします。これを公式に当てはめてみると、メルマガの配信1回あたりの成果は3になるってことが判明します。
この3が多いのか少ないのかによって打ち手を考えていく必要があるんですよね。配信後の開封率とかクリック率を確認してあれこれ打ち手を考える企業さんが多いんですけども、本来であれば事前にこういう目標数値を決めた上でその差分を埋めていくってことを考えなきゃいけないです。
そして不達率、開封率、クリック率、反応率、購読解除率の5つの指標のうち、成果に最も関与しているのがこの公式でも見て分かる通りクリック率なんですよね。
ここで話が戻るんですけども、メルマガの役割は想起です。B2C、B2B含めニーズには波があります。波と言っても綺麗な波線ではなく、こんな感じの少し歪な形ですね。
なんとなく課題を認識しているけどもアクションには繋がらない時期と、課題が顕在化しアクションに移る時期があります。いかにしてこの課題が顕在化したシグナルをキャッチしネクストアクションを起こすか。これが効率的な営業活動に繋がってきます。
そしてメールマーケティングにおいてはメルマガ内のコンテンツがクリックされたこと、これが1つのシグナルとなります。
クリックしたということは少なくとも自社のメールを読んでいるっていうことなんで、そのことを持って読者つまり過去の商談相手といまだ繋がってるってことが確認できるわけです。
シグナルを出した読者がメルマガ内のどんなコンテンツに反応したのか内容を確認して、過去の商談記録と突き合わせることで、今営業がどうアプローチすべきか、こんなことが判断できるようになってきます。
つまりメルマガを担当する方の役割っていうのは営業機会となるこのシグナルをいかに多く生み出していくかということになってきます。
クリックを最大化する要素①:リストの質と管理
リスト収集とダブルオプトイン
そしてこのクリックの数はこの3つの要素によって決まってきます。リストの質、タイミング、コンテンツです。リストの質は見込み顧客の数を最大化することであり、タイミングは接触頻度、コンテンツはメルマガを見た人をいかに惹きつけるかっていう話です。
ということで、これから読者からのシグナルになるこのクリックを最大化する方法、これについて3つの要素に分けて解説していきます。
まずは見込み顧客を最大化するためのリストの管理方法とメンテナンスについてです。そもそも質が良いリストというのは、自社に対し興味関心が高い見込み顧客、これが多く含まれているリストのことです。
資料請求をした、問い合わせをした、以前に購入した方などが頭に浮かぶと思うんですけども、この方々は既にコンバージョンアクションを起こしてるんですよね。それと並行してその一歩手前の方、これをちゃんと拾い上げる仕組みを持つことが重要になってきます。
それがメルマガの登録となります。まだ問い合わせをするほどではないが、どんなプロダクトなのか気になる。こういう方をメルマガに誘導するんですよね。
そもそもメルマガの導線がないのであれば作るべきですし、導線を作る際は分かりやすさであったり入力しやすさであったり、こういったことも重要になってきます。またスムーズな導線を作るだけではなくメルマガに登録する動機、これを与えねばなりません。
お客様はメールアドレスを提供するわけですから、その価値に見合う対価を出すわけです。実際に配信するメールを事前に開示しておくっていうのも有効ですし、あとはホワイトペーパーとかクーポンといった特典ですね、オプトインオファーと呼ばれるものです。これを提供するのも有効です。
ちなみにメールアドレスを顧客DBに登録する際は特定電子メール法でもダブルオプトインが推奨されてます。ユーザーがフォームに入力した内容がそのまま顧客データベースに登録されるのはシングルオプトインと言います。
対してダブルオプトインっていうのはユーザーがフォームに入力すると一度認証のためのメールが配信され、そのメール内のリンクをクリックすることで初めて顧客データベースに登録される仕組みのことですね。
そんなことしないでもシングルオプトインでメールアドレスを2回入力してもらえば大丈夫でしょうと思われるかもしれないんですが、多くのユーザーはコピペ使ってるのであんまり意味ないですよね。
また悪意あるユーザーの虚偽入力ってものも防ぐことができないです。そしてスパムトラップへの登録も避けることができません。スパムトラップについてご存知でない方もいらっしゃるかもしれないです。
スパムトラップとはIPレピュテーションを審査する第三者機関、これが持つ特定のメールアドレスのことで、ここに対してメールを送信してしまうとこの配信元はリストの精査に問題があると判断されちゃうんですね。
結果IPレピュテーションが下げられちゃう、そういう怖いメールアドレスがあるんです。スパムトラップには3種類ありまして、トラップ用のアドレスであるプリスティン(Pristine)、過去に存在したけども今はないリサイクルド(Recycled)、タイプミスといったものがあります。
で、このタイプミスが一番怖くって、Gmailって入れてるつもりなのにLがないとかIが2つあるとか、こういうタイプミスであるもの、これはシングルオプトインで防げないんですよね。こういうのはダブルオプトイン導入すれば防げるものですので可能な限り導入するようにしていただきたいと思います。
ウェルカムメールとセグメント配信
さて、皆さんの会社ではリストに登録されたお客様にウェルカムメールは配信してますでしょうか?ウェルカムメールというのは平均的な開封率は70%近くになります。
今後送るどのメルマガよりも何倍も高い開封率です。この1通目のメールに何を書くかでお客様のエンゲージメントが変化すると言われてます。
そして残念ながら日本ではまだまだこのウェルカムメールを使用してる企業が少なくてですね、事務的な公文書で使ってる企業さんがほとんどです。
B2C企業ならば世界観を伝えたり、あとはクーポンをつけたりすることができるはずです。B2B企業でも特別なホワイトペーパーとか導入事例とか渡せるものあるはずなんですね。
メルマガでキープ・イン・タッチし続けるためには読者に有益なメルマガだと思われることが何より重要です。初めましての挨拶を是非失敗しないようにしてください。
リストの整理をする際によく聞かれるのが、セグメント配信を行うべきかっていう質問です。これは当然答えはイエスです。セグメント配信と一斉配信、バルク配信って言うんですけども、これでは開封率、クリック率、購読解除率に有意な差があることが判明してます。
またセグメントを広く取ることでターゲット外の方からの取りこぼしを防ぎたいっていう意図も理解はできるんですけども、取りこぼした人よりも全く無関係・無関心な層に無駄なアプローチをしてしまい、購読解除を引き起こす可能性の方が高くなってしまいます。
どれぐらい細かく分けるべきですか?っていうお話なんですが、これは使用できる人的リソースによります。セグメントを分ければ分けるほど作成とか配信の手間は当然増えますので、一般的には2から3セグメントぐらいが限界かなと思います。
またリストのメンテナンスで重要なのは、メルマガに全く反応しない人はリストから隔離することです。無反応者もいつか反応してくれるかもしれないと配信をし続ける企業が多いんですけども、このレイヤーを残し続けることにはデメリットがあります。
1つ目は、先ほども話しましたGmailのメールプロバイダーが無反応者に対して行う購読解除の提案、これを避けるためですね。
この提案を受諾したことを、メール配信システム側が検知する仕組みを持ってない場合、配信リストにはいるのに実は届いてないという幽霊読者が発生することになっちゃいます。
2つ目は、無反応者は迷惑メール報告をしがちなんですよね。迷惑メール報告というのは購読解除と異なってIPレピュテーションを大きく下げてしまうというリスクがあります。
そして最後が、そもそも配信し続けても反応することがないからなんですね。そのため無反応者は通常リストから隔離後にバックメールっていうものを送って反応を見ます。ウィンバックメール(Win-back email)についてはいくつかの種類があるんですけども、分かりやすいので言うとECショップなどが配信するカゴ落ちメールもウィンバックメールの一種なんですね。
B2B企業が出すウィンバックメールはリエンゲージメントメールと呼ばれます。このメールで最も工夫するのはメールのタイトル、件名ですよね。
いつもと同じような件名には読者には反応しないので、海外では「Hi」とか「まだメール見てる?」みたいなラフなものをつけることが多いんですけども、ちょっと日本では難しいかもしれないです。
でもどうせこのまま反応しないんですから「メール解除しませんか」みたいな内容でもいいと思うんですよね。そういうものをちょっとつけていただければと思います。
クリックを最大化する要素②:配信タイミングと開封テクニック
配信曜日・時間と「4Uの原則」
さてリストの次はタイミングについてお話しします。まず前提としてメルマガ、メールを開封するまでの大まかなプロセスっていうのはこんなようになってます。
まず読者はメールを読む時間ができたのでメールボックスを開きます。一覧画面に表示されてるメールをざっと眺めて、知ってる差出人からの目を引いた件名のメールを開くんですね。
この開封数を最大化するためにタイミングの調整と開封テクニックってものを駆使します。タイミングの話で言うと一般的に開かれやすい曜日時間っていうものは確かに存在します。
曜日としては火曜日から木曜日、時間帯で言えば7時から8時、12時から13時、18時から21時です。当然扱ってる商材とか自社のお客様の行動パターンによって異なってきます。
例えばある製造業のお客様では土曜日の夕方が一番反応が良かったなんていう例もありました。まずは自社のウェブサイトが閲覧されてる時間帯っていうのを調べて、そこに会わせて配信を行うことをお勧めいたします。
さて開封テクニックの1つ目は差出人名です。差出人名は読者が最も初めに見るところです。大前提として読者は知らないところから来たメールは開かないです。そのため差出人名には見込み顧客が認知している名称を利用します。
例えばサービス名が社名より有名ならサービス名を使用するんですよね。実際に私がラクスにいた時も差出人名は「株式会社ラクス」とするよりも「配配メール」とする方が開封率は高く出てました。
また専任の担当者がいるのであればその方のお名前を使用するのも有効です。例えば自動車ディーラーなどは専任営業などがいますよね。そういう時は営業さんの個人名とメーカー名では、前者の方が開封率っていうのは高く出るんです。
ちなみに今多くの企業で、セミナーの案内などでマーケ担当の子の名前を使って出してる企業さんが多いんですけども、その担当者の子が知名度があるというものではない限り意味ないです。
あくまで読者の方が認知してる名前で出すことが重要なんですね。
差出人名の次に見られるのはメールの件名です。件名はメールボックスの一覧画面では表示される文字数は決まっています。スマホで見るなら15文字、パソコンで見るなら25文字です。それ以上の文字数は一覧画面では表示されず省略されてしまいます。
そのため伝えたいこととか大事な文言が省略されないように文頭に持ってくるなど、また短く端的に表現する、こんなことが重要になってきます。
件名は読者がそのメールを開封するかどうか、この動機の1位になるものです。メールの件名を考える際は、ダイレクトレスポンスマーケティングで有名なマイケル・マスターソンさんが提唱した4Uの原則、これを意識するといいと思います。
4UとはUrgent(緊急性)、Unique(独自性)、Ultra Specific(超具体性)、Useful(有益性)、この4つの頭文字を取ったもので、効果的なヘッドラインとかコピーライティングする際の重要な要素を表してます。
配信頻度とアプローチ率
さて開封テクニックを学びましたので配信頻度についてお話しします。まず冒頭でB2BとB2Cの一般的な開封率についてはお話ししました。
B2Bなら15%、B2Cなら10%っていう数値を見て、メルマガ全然読まれてないんだなと、やることも多そうだし一層のことメルマガやめて他施策やった方がいいんじゃないかなと思う方もいると思うんですよね。
でもここで気をつけなければいけないのは、この開封率ってのは配信1回あたりの数値であるってことなんですね。どういうことかと言うと、開封してる人はいつも同じ人ではないということです。
これはある企業さんの50回の配信で、どれくらいのリスト内全体にアプローチできているか、これを調べた表です。調査の結果、この企業では50回の配信を通してリストの30%の人にアプローチできていることが分かりました。
これで開封率というところで判断してしまうと、この企業の開封率は平均13.1%なので、「あ、13.1%にしかアプローチできてないんだな」と誤った判断をしてしまうことがあります。
ちなみにこの企業さんはB2B企業なので、平均的な開封率基準値に達してないんですね、13.1%なんて。つまりうまくやれてる企業ではアプローチ率はもっと上がるっていうことです。
そしてメルマガを開封したことのある読者の83.4%は、受け取ってるメールを複数回開封してるってことも分かってます。
さすがに受信したメールのほぼ全て開封してる読者さんってのは惰性で開封してるか、もしくはスパム系のツールを入れてるんじゃないかと思いますけども、これらの結果を見るにやっぱり配信頻度を上げることは重要であるってことが分かってきます。
繰り返しますけどもメルマガの役割は想起です。想起してもらうためには接触機会を増やしメンタルアベイラビリティを高める必要があるんですよね。そのためには配信頻度を高く保つことが重要になってきます。
とは言っても配信頻度が高まることで購読解除も増えてしまうんじゃないか、皆さんが一番に心配してることはここだと思います。これについては半分ノーで半分イエスです。
読者は頻度が高いから購読解除するのではなく、いらない情報が高頻度でくるから購読解除するんですよね。例えば発行元と読者との関係性、これエンゲージメントって言うんですけども、エンゲージメントが高いエンターテイメント業界が発行するメルマガの購読解除率、これは非常に低く出ます。
これは、メルマガで受け取る情報が読者のニーズと合致してるからです。読者が欲しい情報がメルマガできてるわけです。しかしこのようなケースは、一般的な法人企業とお客様間ではないですよね。だからこそ、どのような情報を渡すのかっていうのを真剣に考えなければいけないです。
先ほど説明したニーズの波の表を思い出していただきたいんですけども、このアプローチすべきタイミングなんですが、当然ながら時間軸が長ければ長くなるほどトリガーを掴むチャンスは増えるわけなんですよ。
つまりメルマガ担当者はこの顧客との繋がり、エンゲージメントを意識してコンテンツを作っていかなければいけません。そもそもなんですがB2Bのメルマガには2つの種類があります。
1つ目がマーケティングメールと呼ばれるもので、読者にとって有益な情報をコンテンツ化して配信するメールのことです。自社の商品がお客様の課題解決にどのように繋がるのかっていう話題でもいいですし、業界動向とか業界トレンドとかも好まれる内容ですよね。
もう1つがセールスメール、またはプロスペクトメールと呼ばれるメールです。これは自社の商品を売り込むためのメールです。初期費用無料などの案内とかですね。先ほど開封テクニックでお話しした差出人名を担当者名にするという効果的なのもこちらのメールです。
このメールはお客様との距離を詰めるメールですので、事務的な案内ではなく、なるべく営業担当がお客様に状況を伺う時のような「拝啓」から始まるような自然な文体で書いていくわけですね。もしここが苦手っていうんであればそれこそ先生(AIなど)に書いてもらうのがいいと思います。
そしてこのマーケティングメールとセールスメールは混ぜて配信するわけなんですけども、配信比率は4対1です。購読解除率が高い企業はこの比率を間違っていて、セールスメールばかり送ってるケースっていうのが大半です。
セールスメールはお客様にとっては有益なメールではないんですよね。だから購読解除されてしまうんです。配信頻度を上げたいんであれば自社の中にある有益な情報を探す必要があります。
クリックを最大化する要素③:コンテンツの作り方とレイアウト
コンテンツの使い回しと「7秒ルール」
ではどうやってコンテンツを作っていくべきなのかっていうお話に移ります。読者と長期的な関係を築くためには読者にとって有益なマーケティングメール、これを配信し続けましょうと言いました。
マーケティングメールのネタとしてはこのようなものがあります。業界ニュースやトレンドであったりとかHow toとか機能紹介もそうですよね。こんだけ種類あるんです。で作ったネタはもうコンテンツとして徹底的に使い回すことをお勧めします。
メルマガだけのためにコンテンツを探すのは大変ですし、また逆を言えばすでにあるコンテンツもメルマガのネタになるわけなんですよね。
そもそもメルマガのコンテンツ作成から配信までにかかってる時間、これどれぐらいなのかっていう調査結果です。
コンテンツのレイアウトをテンプレート化してる企業、これで30分以上1時間未満っていう層が最も多く、テンプレート化していない企業では1時間以上3時間未満、これが最も多いっていう結果になってます。
テンプレート化してない企業はテンプレート化する手間をサボっているわけではなくって、むしろ成果を上げるためにコンテンツやレイアウトにこだわってる企業が多いようです。
私もよく、クライアントさんからレイアウトやCTAのABテストをやりたいというご相談をいただくことがあります。画像のサイズを大きくしたらどうなるのかとか、冒頭の文章に小話を挟んで親近感を出した方がいいんじゃないかっていう相談なんですね。
しかしほとんどの場合においてこの時間は無駄になります。なぜなら、読者がメルマガを読む時間はほとんどが7秒以下だからです。7秒ってどれぐらいかと言うと、これよくあるメルマガを形にしたものなんですけども、ロゴと一番上のCTAまでが2秒で見れる範囲、次の挨拶と概要までで7秒です。
文字数にするとおよそ140文字ほど、これが7秒で読める範囲です。ここで読者を引きつけることができてなければ、その後どれほど魅力的なコンテンツを作ろうとも読まれることがないんですよね。
HTMLメールと視認性
これからコンテンツの作り方についてお話ししますけども、まず大前提としてメルマガはHTMLで作るようにしましょう。もうテキストメールしか受信できない環境なんてほとんど存在しません。
さすがに未だにテキストメールだけで配信してるという企業さんもあんまりいらっしゃらないと思うんですけども、テキストメールも配信したいっていうことであれば、受信者の環境によって表示が切り替わるマルチパート配信を利用してください。
なぜHTMLで配信するかって言うと、まずは情報量に差があるっていう点です。B2Cならば商品画像があるのでHTMLで配信するってことに違和感はないと思うんですけども、B2Bであっても有効です。
例えばセミナーの案内を行う時に文字でツラツラ書かれるよりも大事なところを一目で分かる画像にした方が一瞬で伝わる情報量に差が出ます。そもそも画像類を使わなかったとしても視認性に差が出ます。
左がテキストメール、右がHTMLで書いたもの、同じ文章書いたものなんですけども、テキストメールはフォントサイズとか文字間とか行間などこういうものは調整できないわけですよね。
しかしHTMLなら自由に調整できるので文字だけのメールだったとしても読みやすいレイアウトにすることができます。この読みやすさの差っていうのは基本的に読み流されるメルマガにおいては大きな差となってきます。
またCTAのリンクの表現方法によっても大きく差が出ます。テキストメールではURLを直書きに記載することしかできませんが、HTMLならば文章の一部をハイパーリンクにしたり、CTAをボタン画像にしたりすることもできます。
URLの直書きとハイパーリンクでは平均的なクリック数は3倍も差がつきます。また同じくURLの直書きとボタン画像では平均的なクリック数の差は8倍にもなるんですよね。これだけの理由があるんですからHTMLで書かないっていう理由はないはずです。
レイアウトの最適化とモバイル対応
さて次はレイアウトの話に行きます。先ほどメールは7秒しか見られないっていう話をしましたが、さらに言うとほとんどのユーザーはメールをスクロールしてまで読むってことはしないです。
スクロールしなくても見れる範囲、ここをパッと流し読みしてその後の文章を読むかどうかってのを判断するんですよね。つまりファーストビュー以降の画面は読むと決断した人しかスクロールして読んでくれないわけです。
それらを考慮してレイアウトを採用するとこのようになります。違いはCTAのボタン、これがファーストビューにあるかどうかなんですよね。
なぜファーストビューにCTAがあることで成果が変わるのかと言いますと、これでメルマガが伝えたいことが明確になるからです。右側のメルマガの場合、このメルマガはセミナーに参加するためのメルマガなんだなってことははっきりと分かります。
しかし元の左側の場合、これは受け取り方によっては今後セミナーを開催するという予告であるとも言うことができます。これ本当に何が伝えたいのかっていうのは左側のメールの場合はスクロールしなきゃわかんないんですよね。
繰り返しますけども残念ながらスクロールしてまで読み進めてくれる人はいないんです。だからファーストビューでメルマガの要旨を明確に伝えること、これが重要になってきます。
このように複数のコンテンツを配置したメルマガを作成するケースも多くあると思います。セミナーをいくつか入れるようなやつですね。コンテンツごとのCTAは下段に行くにつれ半減していくことっていうのが調査でこれはもう分かってます。
つまり一番上にあるコンテンツ、これが最もクリックされるってことですね。このような場合は1度の配信で終わらせてしまうのではなくて、コンテンツの順番をこのように入れ替えて配信することで、それぞれのコンテンツのクリック数、これを最大化することができるようになります。
これをローテーション配信といいます。配信頻度のところでメルマガを開いてるのはいつも同じ人じゃないよという話をしました。これをローテーション配信に取り入れることで、1つの配置コンテンツを使い回した上でさらに成果を上げるっていうことができるようになってきます。
当然全く同じメールの順番を変えるだけだとちょっと味気ないので、件名ぐらいは少し工夫して変えていただけるといいと思います。
メルマガを作成したら必ずテスト送信を行ってメールが思ってるように表示されてるか、この確認はしてください。これは日経クロストレンドさんのメルマガなんですけども、左がスマホのGmailアプリでの表示で、右が同じくスマホで見てYahooアプリで見た表示です。
まずですがGmailとYahooメールでは件名と差出人名の表示サイズ、これが異なってきます。ちょっと分かりづらいかもしれないですけどもGmailの方が圧倒的にサイズが大きいんですよね。これによってYahooメールでは表示されていたトップの方にあるCTA、これがGmailアプリでは表示されなくなってしまいました。
先ほど開封テクニックのところでメルマガの件名はなるべく短くしましょうと申し上げましたけども、メルマガの件名を長くするとこのようにコンテンツの表示幅が狭くなっちゃうっていう理由もあるんですよね。
メールの一覧画面では省略されてたメールの件名もメールの閲覧画面、これでは全文表示されます。なのであまり長いメールの件名つけてしまうと閲覧画面においては本文の表示幅、ここが非常に狭くなるっていうのは意識しといてください。
そうですね、去年からGmailアプリでは画面の下部にメールの種類に関わらず返信用のテキストエリア、これが表示されるようになってます。まだテスト段階なので出てない方もいらっしゃいますけども、基本は出てるって考えていただいて結構です。
これによってさらにコンテンツの表示エリアが小さくなっちゃったんですよね。なのでもう、自社のメルマガがスマホで読まれるケースが多いっていう場合は、このようなアプリによる表示の差にも注意する必要があります。
あとメルマガで読まれるデバイスについても注意いただきたいんですけども、この日経クロストレンドさんの場合は記事に誘導してもらいたいという理由なので配信時間結構早いんですよね。
皆さんも受け取ってらっしゃるかもしれないですけど、朝6時半から8時ぐらいの間に行われてます。いわゆる通勤時間を狙って配信してるわけなんですけども、同じように通勤時間にメルマガを配信してコンテンツがセミナーの申し込みだと、これは思ってもない悪いことが起きてしまいます。
どんなことが起きるかって言うと、通勤時間にセミナーの申し込みや資料請求をする人って、連絡先としては個人の連絡先を入れるケースが非常に多いんですね。いわゆる仕事で使ってるメアドと電話番号じゃなく個人の連絡先を書いちゃうんです。
そうすると営業部隊が後で電話をかけようと思っても、仕事中なんで取れない見れない方が出てきちゃうので、配信時間に関しては非常に気をつけていただきたいなと思います。
またよく聞かれるものとして、メルマガが何かしらの理由で正しく表示されなかった時のための備え、これは必要ですかっていうものがあります。こんな感じのリンクですよね。これクリックするとどうなるかって言うと、メルマガとコンテンツ同じ内容がブラウザで表示されるっていう、これはメール配信システムによる一機能なんですよね。
結論なんですけども、何かしらのコンバージョンを求めるメルマガ、例えば資料請求とかお問い合わせとかを求めるようなメルマガですね、このような場合この機能を利用する必要はないです。メールとコンバージョンポイントとの間に1ページ挟まってしまうと必ず離脱者が発生してしまうからなんですよね。
つまりメールからLPに直接行けば発生しなかった離脱者っていうのが、このブラウザを挟むことによって離脱者が増えてしまうっていう形になってしまう。これをやるんであれば、テキストで「元のメールが正しく表示されない方はこちら」っていうリンクをつけて直接コンバージョンポイントにした方がよっぽどいい結果になると思います。なのでここのリンクっていうものはなくても大丈夫です。
講義のまとめ
色々と話しましたけども、今日のまとめ、もう1度最後に言っていきたいと思います。
メルマガっていうのはまずキープ・イン・タッチで想起を促すものであるってこと、これをしっかりと覚えておいてください。キープ・イン・タッチです。なので長く顧客とエンゲージメントをつなぎ、顧客が必要となったタイミングで思い出してもらうものなんですよね。
なのでよく聞かれるナーチャリングっていう考え、どうしてもステップ状に読者のデマンドを上げていくってことを考えるかもしれないんですけども、そんなことはありえないと。
そもそも何度も出てきてる話なんですが、メルマガって毎回読まれるものじゃないんですよ。なのでいわゆるステップメール、シナリオメールってのがうまくワークしない理由がここに詰まってます。
ちなみにステップメールってそもそもこれ和製英語なんですよね。本来「Scheduled Email(スケジュールド・イーメール)」と呼ばれるものです。何かって言うと時間通りにスケジュールに沿って配信されるメルマガのことなんですね。
なので海外でステップメール、Scheduled Emailをナーチャリングメールとして使おうみたいな話は出てこないわけなんですよ。これは日本だけでよく出てくる話です。
シナリオメールもあんまりうまくいかない理由は、やはりクリック・開封によって分岐していくっていう内容なんですけども、これもやはり毎回開かれるわけではないとかその辺りからうまくワークしないっていう話です。
1個2個のシナリオであれば全然うまくいきます。例えばなんですけどもメルマガをクリックしてその後ウェブページに行きましたと。でウェブページで料金ページを見たら特典がついた導入事例のメールを流す。
これぐらいだったらうまくいくんですけども、5つぐらいのシナリオにしてくとどっかで必ず落ちて修正も困難になっていくという形。なのでやるのであれば1、2個のシナリオにしてください。
次が、クリックは見込み顧客からのシグナルであるということです。メルマガのコンテンツをクリックしたか or しなかったか、というのがもう最大のシグナルになってきます。
開封ってね、どうしても数が取りたいので開封まで広げちゃうこともあるかもしれないんですけども、先ほども申し上げたように開封データっていうのはそもそも正しく取れなくなってきているっていうこともありますし、また読者の方がセキュリティソフトを入れている場合はセキュリティソフトが勝手に開封しちゃうなんてこともあります。
インサイドセールスやられてる方でしたら開封した方に電話かけたら「いやそんなメール見た覚えないんだけど」みたいなの言われてると思うんですよね。これは非常に多いので、我々はもうクリックっていうところをシグナルとして考えるべきです。
で、この大事なクリックっていうのはもうリストの質とタイミングとコンテンツ、この3つの要素で決まってきます。
リストの質というのはいかに態度変容・行動変容を行ってくれる読者が含まれるかっていう話です。よくメルマガ始めるにあたって「うちまだリストが2,000、3,000ぐらいしかないんで、もっと5,000とか1万に増やした方がいいですか?」って聞かれることあるんですけども、容易に増やせるリストっていうのはいわゆる質の低いリストなんですよね。
例えば展示会とかイベントに出て名刺交換くらいならいいんですけども、ノベルティと引き換えに集めるとか、そういう質の低いリストをいくら集めても態度変容をする分子は変わらないのであんまり意味はないです。
B2B企業の、だいたい見てきた中で言うと2,000ぐらいあればもう十分メールマーケティングできますので、それで始めていただいて問題ないです。
次がタイミングですよね。タイミングに関しては開封してもらうテクニックがありますと。配信時間もそうですし件名や差出人名、こういうとこにもしっかりと気を使いましょうっていうお話です。
最後がコンテンツですよね。コンテンツには2種類あります。B2B企業の場合はマーケティングメールとセールスメール、この2つがあると。マーケティングメールをいかに配信していくか非常に重要で、マーケティングメールを出し続けて読者からの支持が高まれば、エンゲージメントが長く取れる、いわゆるお客様とも長く付き合えるためシグナルキャッチのタイミングが増えていくっていうことですよね。
4番目も似たようなこと書いてますけども、読者は全てのメールを見てるわけではないんです。なのでここは非常に意識していただきたいです。
結構あるんですけども、なぜか設計段階では自社のメルマガは全部見られてるっていう形で設計される方が多いんですけども、平均的な開封率は15%ってことは85%の人はそのタイミングのメールは見てないわけなんですよね。
かつ過去のメールを漁って見る方もほとんどいないです。なので1回勝負だと思っていただいた方がいいです。ですので、例えばセミナーの案内をする時にそのセミナーで集客をしたいのであれば1回の配信に留めず、それこそ開催前日、開催当日も配信する、こちらの方が勝ち筋になってくるわけですよね。ステップメール、シナリオメールがワークしないっていう理由もここに含まれてます。
最後は配信頻度ではなくて読者に役立つ情報をちゃんと渡すことを意識してくださいっていうお話です。
配信頻度と購読解除率は比例しないよっていう調査データをちょっと私が出したがために、少し勘違いされてどんな情報でもお客様に配信、送っていいんだって形でとにかく1日3回送ろう4回送ろう毎日送ろうみたいな企業さん出てきちゃったんですけども、当然役に立てる情報であれば全然構わないわけです。
それが役に立てる情報がないので「じゃあちょっと仕方ないからセールスメールいっぱい出すか」みたいになっちゃうことあるんですよね。
先ほどマーケティングメールの中にセミナー情報とかあったと思うんですけども、じゃあこのセミナー情報も毎回流せばマーケティングメールなんで問題ないだろうと思うかもしれないですけども、大前提として読者の方がその情報が欲しいかどうかっていう情報があるんですよね。
例えばマーケターの方に向けてマーケティングに関するセミナーを配信するっていうなれば全然これはもちろん問題ないわけです。一方でマーケティング関係ないメールですよね、営業セミナーとかそういう情報をやってると当然ながらそれは意味がない情報。で、読者は購読解除してしまいますと。これを防ぐためにセグメントが結構重要になってきます。
読者がどのチャネルから入ってきたかっていうのをしっかり考えて、チャネルをセグメントを分けていただければと思います。マーケティングの文脈で入ってきた方ならマーケティングのカテゴリーに入れますし、営業ならば営業のカテゴリーに入れるっていう形ですよね。
読者は毎回メールを見てるってわけではないんですけども、役立つ情報を渡せてるかっていうのは常に意識いただけるとありがたいと思います。今日のまとめはこの5つになってきます。
最後にちょっと簡単に会社紹介させていただきますと、エスプーマではこんな感じでEメールマーケティングの支援とかセミナーもやらせてもらってますので、よかったらお声かけいただければと思います。ちょっと4分ほど早く終わってしまいましたが、私の講義は以上になります。ありがとうございました。
Q&A
池田:ありがとうございました。水を飲んでちょっと一服してください。いやあ久しぶりにまとめて聞きましたけど、めちゃめちゃやっぱり奥深いし面白いし、ちゃんとやらんとMARPSのメルマガも少し工夫を凝らしてちょっと頑張らんといかんみたいなポイントがいくつかありました。
安藤:ありがとうございます。
池田:いくつか事前にもらってるやつも、僕がちょっと深掘って聞きたいところも、時間の許す限り伺いたいんですけど、そもそも1番冒頭のところでEメールマーケティングに関するその業界の勃興というか盛り上がりが2000年初頭のところで湧き上がってから最近まで、安藤さんの本まで本当にメールに関して書かれてる本って少ないじゃないですか。
安藤:少ないです。
池田:これはなんでだって。メールとLINEとアプリの直接配信とかSMSぐらいしか、B2BだろうがCだろうが、お客様に直接こちら側からプッシュする術はないわけじゃないですか。めちゃめちゃ重要なコミュニケーションチャネルなのに、なんでこの20年の空白が発生したのか。
安藤:えっとですね、2つというか1つですけども、マーケティングオートメーション(MA)ツールがあったかどうかなんですよね。アメリカではMAツールって実はもう1990年代ぐらいから導入されてました。
あちらは国土がすごい広いのと、かつリストを買うのが合法だったんですよ。例えばアメリカにいるマーケティング企業の責任者だけが集まったリストがあると。でそれをまずMAツールにぶっ込んでですね、メールを配信して、その反応を持って生きてる生きてない分けてくるんですよね。これがもう一般的な行動として行われてたんですよ。
日本では、MAツールが流行ったのを見てもこの10年以内ぐらいの話ですし、そもそもリストの購入自体も禁止されてた。メルマガを送る企業が、やっぱりB2CでECショップでご購入いただいた方に何か送るとかいう形だったんですよね。
あとは、ツール自体がやっぱり計測があんまりよくできなかったというところで、一方的に配信してよく成果も分からなかった状態が続いてたんですよね。
なのでこのアメリカがEメールマーケティングやってる間において、日本で出してるメルマガの本って大体こうエモーショナルな文章の書き方とか、罫線を使ったレイアウトとか、そういう方にばっかなっちゃったんですよね。
なので、それがこの10年ぐらいでMAツールがまた日本に入ってきて、デマンドジェネレーションって考え方になってきて「じゃメールマーケティングだね」ってなった時に、海外のものしか論文がなかったの誰も訳してなかったんで、じゃあ僕がやろうみたいな形でっていうのがあります。
池田:なるほどね、そんなところに違いがあったんですね。以前『儲けの科学』のB2Bといえばの庭山さんにもお越しいただいて、日本のB2Bっていうのは海外と比べてやっぱり数年遅れちゃってるみたいな話があったのは、やっぱりそういった背景のところで一致してるわけですね。
B2Bでは、相変わらずビジネスの人たちはメールを毎日絶対使ってるんですけど、一時期やっぱりSNSだったりスマホだったりLINEが普及してくると、昔はスタンプキャンペーンで一気に1000万人2000万人LINEの友達増やして一斉配信みたいな感じから、ビジネスコネクトが出てきてセグメント配信、お金かかるけどやり始めるみたいな感じから、B2CはメールとLINEの併用みたいな感じが今進んでると思うんですけど、これってB2Bは多分引き続きメールが一番中心的なやり取りのツールになると思うんですけど、B2Cって安藤さんのお客様とか相談してくるところとかってどんな感じになってってます?
安藤:そうですね、ちゃんとやってる企業さんっていう話ですると、どっちもやるんですよね。で使い分けてますと。LINEはですね、やっぱり長期的な関係を築くっていうよりも、フラッシュセールであるとか。ただ一番怖いのはブロックされちゃうともう届けられないんであんまり頻度高くできないと。
ただし、やっぱりセールの通知がプッシュ通知でくるのは非常に大きいので、こうプッシュ通知を送った時の売上って上がるんですよね。一方で企業様としては長期的な関係も築きたいと思うので、ロイヤリティプログラムの案内とかもしたいけども、これはLINEでは流せない。
なので、こういうのはちょっとメルマガで流そうってなってやってる企業さんが多いですね。お名前出せるとこで言うと、BEAMS(ビームス)さんとか、チョコレートのMinimal(ミニマル)さんとかもやっぱり同じ感覚でやられてますね。
池田:なるほど。結構これってでも今聞いてよかったなと思ったんですけど、多くのところで併用するという考え方って、結構あんまり普及してないっていうか、なんかねLINEに力点をもう移してっちゃおうかメールから、ぐらいの感覚のとこ多いですよね。
安藤:そう、多いです。メルマガやってなるとやっぱし今はLINEだよねってなって始める方すごく多いんですけども、僕としてはやっぱり併用してやっていただきたいなとは思いますよね。
池田:なるほど。確かにLINEの場合は、やっぱり手に常に握りしめてるところがブブッとなるから開封率も高いし、それこそ数分で一気にガッとクリックと商品の購入なりなんなりってなるけれども、確かに開封させておいてそんなに緊急性がないやつを送ってきやがってっていうのはLINEにとっちゃはむしろ逆にネガティブだから、そういうのはやっぱりメールの方が相性いいし、中長期的な関係構築用のやつも含めて、LINEにメッセージバンバン送るとブロックされちゃうから、これは併用が吉だと。
安藤:そうです。
池田:なるほど。ためになる。いいっすね。ありがとうございます。そしたらですね、安藤さんと僕のネタといえば今日の11ページ目のところ、もう1回開いていただいていいですか?
もうほぼ100%の人たちがリードはナーチャリングできるし、ナーチャリングするものであるっていう風に、完全に認識解釈されていると思うんですけど、僕ら結構数年前から「リードはナーチャリングできない宗派」としてこうお話しするじゃないですか。これどうですか?
安藤さんの身近で「いや確かにメールでリードをナーチャリングするって幻想だよね」って認識されていらっしゃる方って、相当僕は少数派だと思うんですけどどうですか?
安藤:そうですね。ナーチャリングできるって言ってる方に、いわゆるマーケターの方であったことは今ほぼないですね。
池田:マーケターの人はみんなちゃんと認識している?
安藤:マーケターの人は正しく認識、名のあるマーケターって言ったらあれなんですけども、やっぱりちゃんとやられてる方は「ナーチャリングできないよね」ってなるとやっぱり「うんうん」ってなるんですよね。一方でやっぱり今から始める方だとそこに幻想を持ってる方は非常に多い。
池田:うーん。これでも、今から始める方ではなくて、結構数年にわたってずっとやり続けてるけれども「ナーチャリングしようナーチャリングしよう」つって数年にわたってずっとメルマガの運用している人ってめちゃ多くないですか?そんなことないですか?
安藤:あ、まだまだ確かにやり続けてる方はいますよね。何かこう複数で組み合わせたらできると思うんですよ。メルマガだけではなく。
池田:そうですよね。だからメールで有益なさっきのマーケティング情報をお送りしつつ、例えば自社主催のセミナーだったりとかイベントだったりとか、あとは有益な白書だったりとか、ありとあらゆるものを組み合わせて、少しずつ距離を近づけるとか信頼関係を構築するみたいなことは、当然やれることもあるかもしんないけど、メールの配信のみだけでお客様をステップバイステップでこう、温めて育成をしていくみたいな感覚っていうのはこれはもう絶対に捨てた方がいいよねと。
安藤:そうですね。もうナーチャリングのための手段の1つではあるんですけども、全部ではないので、なんかちゃんと併用して設計しないとうまく機能しないですよねっていう。
池田:いやあ、これは本当に誤解がまだまだ僕はすごくあるような気がしてんですよね。安藤さんは比較的その、メールマーケティングのリテラシーがそれなりに高い方々との接点が、普通の人よりはそれが本業だから多い気がするんですけど、なんとなく僕はもっともっとメールでナーチャリングするぞ論者の宗派の方々相当まだまだ多い、半分ぐらいそうなんじゃないかなって気するんですよね。
安藤:ああ、結構いらっしゃるんですね、まだ。
池田:うん。ちなみに事前に頂いている質問の中にもあるんですけれども、結局その「今すぐ客」と「そのうち客」が、「育成する」「ナーチャリングする」じゃなくて、定期的にコミュニケーションを取り続けておくことによって、ニーズが顕在化した時に想起されてちゃんとクリックしてもらうために、という話にしても本当そうじゃないですか。
想起だ、メンタルアベイラビリティであると。一方で事前に頂いた質問の中だと、そのメールをお送りし続けていることによるメンタルアベイラビリティの向上とか、「いざとなった時に思い出してもらえる確率が高くなってきてます、前と比べて」みたいなところの、効果の検証がなかなか難しいじゃないですか。要は行動が伴わないから。
開封なりクリックは行動としてデータがこっちに飛んでくるから分かりやすいんですけど、この意識変容なり態度変容、行動が伴う手前のやつって相手に聞かなきゃわかんないんですけど、これ一般的に結構やる企業のメルマガの効果測定ってデータ行動系のデータに紐づかない、いわゆるアンケート調査によるメルマガによる意識態度変容みたいなものを見るんですか?
安藤:そうですね。アンケート取ってる方もいらっしゃいますけども、そのアンケート自体もメルマガで流れるので、
池田:結局エンゲージメントが高く、開封してクリックしてくれた人の回答だけになるからめちゃめちゃ偏っちゃってるってことなんですね。
安藤:はい。そういうパターンの時はですね、一旦お話したこのアプローチ率を調べていただきたいんですよね。でやっぱり開封という行動データにはなってしまうんですけども、一体自社のお客様の何%ぐらいの人、そのリストの中の何%の人はメルマガを読んでんのかっていうのをまず把握する。
把握した上で、これと何かしらのクロス指標を持っていただきたいんですよね。これはちょっと業種によって異なるんですけども。
例えばですけども、僕が支援してるEC事業ではこれと共にメルマガ経由の購買数っていうのを時系列で取っています。どれぐらいの売上、アプローチと関係があるんだろうって取ってて、それを元にエンゲージメント高まってる低くなってる、みたいなのがあるんですよね。
なので、1指標ではちょっと取れないので、これと例えばよくあるのはクリック率と購読解除率をかけるとか、何かしら自社なりの数値の取り方というのを見つけていただく形になると思います。
池田:うーんなるほど。そうか、やっぱりだからアンケート自体にはなかなか無理があるから。あ、ちなみに今の開封率の累積が何%ぐらい結局そのリーチができてるかという話なんですけど、さっきの安藤さんの話からすると、やっぱり開封率っていうデータ自体がなかなか信憑性が怪しくなってきたって話なら、あそこをクリックしながら何%の人たちのクリックが到達ができてるか、みたいな方がより正しくなってくるってことなんですかねこれから。
安藤:正しさで言えばそうですね。B2CとB2Bでやっぱり異なってきて、B2BだとそのiOS使ってる方が結構少なくなってくるので、若干のブレはあるもののまだまだ開封率は使える状態にはなってるっていうとこですね。今のところは。これがGmailにまで広がっちゃうとまた変わってくるんですけど。
池田:うーんなるほど。でも基本的には、さっきのいろんな今日、規制だったりとか注意喚起のお話もしてもらいましたけれども、基本的には徐々に徐々に、やっぱり締めつけが厳しくなっていく方向なわけですもんね。てことは、メールマーケターからすると難易度とか制約は基本的に減ることはなく増え続けると。ユーザー保護の観点からね。
でも安藤さんね、B2Bの場合も最近LINE増えてきたじゃないですかB2Bも。これはでも、LINEが増えるかどうかっていうのはあるとしても、やっぱここから3年も5年後も、基本的にはお客様なり見込み顧客に連絡を取る手段っていうのは、今のところやっぱり主要ツールっていうのはB2BもCも基本メールとLINE、日本においてはこれは変わりないと思いたいんですが。
安藤:あの例えばなんですけども、個人的な話でいうと僕の娘は今LINE使ってないんですよ。友達とのやり取りはInstagramのDMでやってると。LINEは家族としかやってないって形なんですよね。
こういうように、アプリ系ってやっぱり変遷があって、どんどん変わっていくじゃないですか。
その時にここで得た顧客情報って、そのアプリにしか溜まっていかないわけなんで、それはちょっと怖いと思ってて。
メールってインフラなんですよ。規制が多いのもインフラだからなんですよね。なのでメールと何かしらっていう併用はこれからもあると思うんですけども、それがLINEかどうかっていうのはちょっとまだわかんないとこです。
池田:なるほどなあ。そうか。だからもうメールやめてLINEに移行しちゃうぜ、というのが一番危険で、メールプラスLINEとか、メールは基本的にはもうデフォルトとして、やっぱり基本的にはやり続けプラス多くの人たちがコミュニケーションアプリとしているやつも併用して使っていくのが、一番ポートフォリオとしてはリスクが分散できてる状態っていうことなんですかね。
安藤:まさにですね。
池田:へえ。これはもうちょっと安藤さん、声デカめで啓蒙した方がいいんじゃないですか。やっぱり手軽に反応するし、メールよりもやっぱりアプリに引っ越すか、みたいなこととか考えてる人めちゃめちゃ多い気がするんですよね。
安藤:多いですよね。
池田:最後の質問になっちゃうかもしんないですけど、話題をさらっているGPTのプロモードだったり、あとはディープリサーチ系のところでもAIの進化が凄まじいみたいなところからすると、ここからそのMAのオートメーションのツールとかにも多分AIがどんどん実装されてって、自動で文案を作ってくれますみたいな感じとかって、多分普通に実装されていく未来というのはもう来てると思うんですけど、これなんか注意すべきこととかってなんかどっかにあるんですかね。
大いに工夫しながら効率的にっていうところは皆さん思考されると思うんですけど、ここに注意しないと足元拐われますぜ、とかっていうところなんかあるんですかね?
安藤:やっぱりMAのデータ、MAとAIがどう繋がるかによるんですけども、僕の理想としては、MAを使ってる全ユーザーのデータが集約されて最適解が見つかって作ってくれるって形だったら全然いいと思うんですよね。
それがやっぱりプライバシーの観点とか考えると、その自社の最適データのみで文章が作られていく、みたいなことは全然あり得ると思っていて、そうなってくると過去に出したものしかデータとしてはないわけなんですよね。
そうすると、他の情報を入れないでそこに任せちゃうと、いつまで経っても自社の殻を抜けることはできない、という未来もあるんじゃないかなと思ってます。
池田:なるほど。MAのツール内のAIの機能を使ってやると、確かにそのクローズで閉じられた自社の過去データからしか文章生成しない、みたいなパラドックスはあり得るリスクとしてあるんですけど、毎回例えば今のGPTのディープリサーチとかの外部のところに、この文案を1番クリック率が高くなるように少しちょっと文章を修正して生成して、みたいな感じとかをやるぐらいは、大いに使ったらいいじゃないかっていう感じなんですかね。
安藤:僕はそうですね。メールマーケティングの1番いいところって、リソース少なくリターンが得られるとこだと思ってるので、楽できるものはもう全然使った方がいいと思いますね。
池田:なるほどね。あとは、今日安藤さんのところもローテーションしながらタイトルちゃんと変えてね、ABCだったのをBCAにして列を入れ替えていくとか、ワンコンテンツマルチユースっていうか、もうとにかく擦ってこすって擦り続けるんだと。
なぜならば全てのメール開封してる人なんかいないんだから、みたいな話とか、そこら辺も「いやこの内容ってもう前に送ったから、もう1回送ると重複しちゃうしな」とかって送る人って真面目に考えるんだけど、「いやいや見てない見てない」みたいなぐらいの図太さが、やっぱ結構必要ということなんですかね。
安藤:いいですね、図太さ。そうです。僕は必要だと思います。
池田:うん。なるほどなあ。やっぱりみんな真面目すぎるっていうところがあるのかもしれないすね。
安藤:マーケターは忙しいのにね。
池田:いやいや、すいません。あっという間に時間になっちゃいましたが、皆さん是非ですね、超久しぶりに出たこのメールマーケティングの本としては、安藤さんの書かれた本めちゃめちゃ分かりやすくって網羅されて整理整頓されてるんで、是非皆さん今日の復習兼ねてね、あとはあのチームで共通言語化を作るためには、今回のアーカイブ見るのもいいけどやっぱり本を読書してみせてもらうっていうのは絶対にいいと思うんで、是非皆さん興味がある方はチェックしてみるといいじゃないかと思います。
ということで今日はメールマーケティングについてエスプーマ代表の安藤さんにお越しいただきお話を頂戴しました。安藤さん改めまして、今日はありがとうございました。
安藤:ありがとうございました。
池田:では皆さんまた次回お会いいたしましょう。さよなら。


