【公開期限:~2026/1/23】デジタルマーケティング連続講座⑦ 選ばれる存在になるためのコンテンツ体験最適化のプロセス

2025年1月23日
投影資料DL

本講座のアーカイブ動画および資料の公開期限は2026/1/23までとなります。公開終了前にご覧ください。

デジタルマーケティング連続講座の概要とゲスト紹介

※このテキストは『デジタルマーケティング連続講座⑦ 選ばれる存在になるためのコンテンツ体験最適化のプロセス』の書き起こしです。文中の登壇者名表記は敬称略。

コンテンツマーケティングへの高い関心

池田:皆さん、こんばんは。毎週木曜日のMARPSが今週も始まりました。やってまいりましょう。こちらのデジタルマーケティング連続講座ですが、そろそろ折り返し地点というところまで来ました。今日は7回目、コンテンツマーケティングがテーマです。

やはりテーマ的にB to BもB to Cも皆さんコンテンツマーケティングには興味がおありということで、今日も450名近くの方々がお申し込みをされていらっしゃいます。

ゲスト紹介:株式会社ウェブライダー代表取締役 松尾茂起氏

今日はこのテーマについて、この方に是非お話をいただきたいということで、株式会社ウェブライダー代表取締役の松尾茂起さんに来ていただいております。

松尾さんといえば、皆さんもご存知だと思いますが、『沈黙のWebマーケティング』と、続編となる『沈黙のWebライティング』ですね。この表紙はインパクトがあるので、Amazonのサイトとかでも見たことがある方も多いんじゃないでしょうか。

読んだ方は分かると思いますが、漫画風ストーリーと理解を深める解説で学ぶという形式なんですが、2冊目は670ページと分厚いのに2,310円とお買い求めやすいんです。中を見ていただくとLINEのチャット形式みたいな感じでストーリーが展開していくので、めちゃくちゃ分かりやすいですね。

Amazonのページで「ギフトとしてよく贈られている商品」として1位になっているんですが、これは1人で10冊読むわけではないので、誰かが読んで「これはすごい、超分かりやすい」ということで、自分のチームや部署、取引先やお客さんに配って共通言語を作ろうとしているんだと思います。

上級者の方からすると当然、ストーリーで学ぶ系の本って、情報量としては漫画だと1/10、小説でも多分半分から1/3ぐらいに圧縮されちゃうんですよね。その代わり原理原則や基礎的なところが分かりやすく腹に落ちて実践で使えるようになります。

講座の狙い:マーケティングを「面」で捉える

この本の10万部突破やシリーズ15万部というのは、日本のマーケターが最大で40万人ぐらいと言われている中で、大ベストセラーでも10数万部ですから、すごい多くの人が読んでいるという感じです。

今日はそこら辺のエッセンスをギュギュッと話していただく回になっています。

マーケティングは幅が広くて奥が深いので、つまみ食いしていると点ばかり学ぶことになりますが、現場で応用が効くのは「面」として全体を俯瞰し、構造的に理解しているからです。面を理解していると、買ってもらえるまでのマーケティングの「線」が見えてきて、その線の中に点があるんだと理解できます。

デジタルマーケティング連続講座ですが、もはや何でもかんでもデジタル化している時代ですから、デジタル時代におけるマーケティング連続講座という意識で学んでいってください。今日はいよいよマーケティングコミュニケーションのファネルマップの「具体的にどうするの」という打ち手の話に入っていきます。

松尾さんはSEOを意識したライティングや、誰のための何のためのWebコンテンツなのかというところに精通しているので、今日はそのあたりが範囲になってきます。

私の前説はこれで終わって、ここから松尾さんに引き継ぎ、講義を大体70分ぐらいお話しいただいて、最後15分ぐらい質疑応答で8時半に終了ということになります。では松尾さんにご登場いただきましょう。松尾さん、こんばんは。

マーケティングにおけるコンテンツの役割と「疑似体験」

講義テーマ:選ばれる存在になるためのコンテンツ体験最適化

松尾:はい、よろしくお願いいたします。改めまして皆さんこんばんは。ウェブライダー代表の松尾茂起と申します。本日は私が話すテーマは、スライドの表紙にある通り「選ばれる存在になるためのコンテンツ体験最適化のプロセス」というテーマでお話ししてまいります。

今日お話しするテーマをざっくりシンプルな言葉にまとめ上げると、コンテンツマーケティングのノウハウになるんですが、コンテンツマーケティングという言葉は抽象度が高くて、人によってはSEOで上位表示をしてトラフィックを集めるためのコンテンツと思われる方もいらっしゃれば、YouTube等で動画をどんどん発信していくという風に捉えられる方もいらっしゃいます。

今日お話しするのは、SEO向けのコンテンツの話にもつながりますし、YouTubeで動画を作っていきたいという方にも使っていただける、あらゆるコンテンツに通じる本質的なお話をさせていただきます。

コンテンツとは商品の価値を疑似体験してもらうもの

今日お話しするテーマのキーとなる言葉「コンテンツ」ですが、私はこのコンテンツをマーケティングにおいて必須の情報であると考えています。マーケティングというのは商品の価値をいろんな方に届けていく一連のアクションを指すんですが、その商品の価値を知ってもらうための媒介物となるのがコンテンツなわけです。

コンテンツを作る上でどういった点に気をつけなければいけないのかと言うと、シンプルにお話しするのであれば、コンテンツというのは「商品の価値を疑似体験してもらうために作るもの」であると考えています。

コンテンツには漫画とか動画とか色々あると思いますが、あくまでもマーケティング目的で作られるコンテンツというのは、商品の価値を疑似体験してもらうためのものです。コンテンツを読む、そして楽しむ中で「あ、こういう商品があってこう使えばいいのか」「その結果こういう風な良いことがあるんだ」ということを疑似体験してもらうために作るものです。

この考えをベースにコンテンツを作っていけば、コンテンツを作ったけどマーケティングの成果につながらないといったことは防げるんです。成果につながらない場合は、そもそもそのコンテンツが商品の価値を疑似体験するように作られていないということが挙げられます。

商品価値を疑似体験させるコンテンツの事例

事例1:書籍『沈黙のWebマーケティング・ライティング』

早速いくつか事例をご紹介します。まず冒頭で池田さんがご紹介してくださいました私の書籍『沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』という2つのコンテンツを紹介させてください。

この2つの書籍は、左側がWebマーケティングの知識を体系的に学べる、右側がWebライティング、例えばSEOでどんな記事を書けばいいのかといった極意を学べる内容になっています。中身は両方の本とも登場人物がいて、いろんなストーリーが展開されていきます。

ストーリーの内容を平たく申し上げますと、主人公のボーン・片桐という筋肉ムキムキの人は実は世界最強のWebマーケターであるという設定なんですね。

世界最高ではなく最強というのがミソなんですが、とにかく物理攻撃と言いますか、筋肉ムキムキだからパソコンのキーボードを触るとそれだけで爆風が起きるみたいな、とんでも設定にはしているんですが、面白いWebマーケターがいろんな企業さんのマーケティングを再生していくストーリーが描かれているわけです。

この本で行っていることは、ある商品の価値を疑似体験してもらっているんです。その商品というのは何かと言うと、「Webマーケティングをプロに頼んだらどうなるのか」という、いわゆるWebコンサルティングという商品サービスの価値を、この本を読んでいただくことによって疑似体験してもらえるようにしています。

なのでこの本を読んでくださった方は、「あ、プロはここまで考えるのか」「プロに頼んだらこんなに良いことがあるんだ」ということを感じてくださり、その結果、コンサルティングやWebマーケティングの会社にご依頼される方が増えたり、手前味噌ながら弊社もこの本のおかげでたくさんの方から引き合いをいただいているようなところです。これが1つの疑似体験コンテンツの例です。

事例2:セミナーLPとオウンドメディア

他にも事例があります。こちらは2022年度のセミナーのランディングページなんですが、弊社では時折気合を入れたセミナーをやっておりまして、そのLPの中に実は「このセミナーの中でどういうノウハウを扱うのか」をかなり先出ししているページがあります。

これはつまり、このセミナーを受講するとこういうことが学べて、これがこういう仕事で役立つんだということを疑似体験してもらえる作りになっているんです。

こうした疑似体験型コンテンツを作ったことによって、このセミナーもたくさんの方に受講していただきましたし、さらに言うと、このセミナーの内容自体がウェブライダーという私の会社のコンサルティングの中身になっていますので、「ウェブライダーに頼むとこういう風に考えてこうしてくれるんだ」ということを疑似体験してもらえる作りになっています。

それ以外にも、これはB to C向けのメディアで『美味しいワイン』という名前でワインの楽しみ方を教えるサイトなんですが、この中にも疑似体験系のコンテンツがたくさんあります。

例えば「ワインってこんな風に飲むとこんなに楽しいことがあるよ」ということを記事を読む中で体験できるようなコンテンツです。この中で、今もたくさんのトラフィック、集客があり、たくさんの方に見ていただいているコンテンツが1つありまして、それが「父の日にワインを贈りましょう」という提案をしている記事です。

「父の日 ワイン」という検索ワードで検索すると、ここで7年ぐらい前からずっと1ページ目に上位表示されているコンテンツなんですが、父の日にこういう風なワインの渡し方をするとこういう良いことがあるよ、例えばお父さんとの仲がちょっとギクシャクしていても、父の日にこういうワインの渡し方をするといわゆる雪解けになるよ、お父さんとの仲が良い感じに良くなりますよみたいなことを書かせていただいているわけです。

なので、父の日にワインを贈る価値を疑似体験してもらえるという内容でこのコンテンツを作り上げたところ、7年以上ずっと検索結果でも上位表示していますし、実際にワインも売れ続けている、買ってもらい続けているようなところです。

事例3:ツール「文賢」と採用コンテンツ

それ以外にも、弊社が展開しているクラウド上で文章チェックができる『文賢』というサイトのLPがあります。この文賢というサイトの中にもオウンドメディアがあり、例えば「表記の揺れをなぜなくした方がいいのか」という記事があります。

表記の揺れというのは、例えば「お問い合わせ」の「お」を入れるのか入れないのかといったもので、表記が揺れちゃうと文章が丁寧に書かれていないような印象を与えてしまうのでなくしましょうという内容なんですが、その表記の揺れをなくすためにはこういう風なノウハウがあって、しかも文賢というツールを使うとこれだけ表記の揺れを防げますよといったことを書かせていただいています。

これが今も「表記揺れ」というワードで上位表示していますし、この記事を経由して文賢というツールを知っていただいているところになります。この記事も結局、表記揺れのチェック時に文賢を使う価値を疑似体験してもらっているわけです。

それ以外にも文賢の中にはインタビューコーナー、いわゆる活用事例と言われるコンテンツがあり、これを見ていただくことによって「文賢ってこう使えばいいんだ」といったことを疑似体験してもらえます。

他にも弊社の採用サイトでは、私が居酒屋を貸し切って仕事に関する熱い思いを2時間ぐらいずっと話している動画がアップされていたりします。

これあまり再生回数はないんですが、うちの会社の採用フォームに応募してくださる方はほとんどこの動画を見て、うちの雰囲気を疑似体験して「ウェブライダー良さそうだ」と思って申し込んでくださるということが実際に起きています。

あとはうちのメンバーと色々談笑しているような動画もアップしていて、これもメンバーと働く価値を疑似体験してもらっているようなところになります。ここまで私たちが手掛けてきた事例についてお話ししたんですが、共通して言えるのが何度も繰り返し言っている「疑似体験」ということです。

マーケティングにおけるコンテンツというのは、しつこいようですが、マーケティングで広めたい、知ってもらいたい商品を「使う価値」を、知ってもらう、感じてもらう、理解してもらうために作るべきであって、その時に重要となるのが、そのコンテンツを通じて実際に商品を買った未来や、その結果を疑似体験できるかというところが重要になってくるわけです。

弱いコンテンツと強いコンテンツの対比

弱いコンテンツの特徴

ここでコンテンツというものにもう少し切り込んでいこうと思いますが、私、コンテンツを考える際に「弱いコンテンツ」と「強いコンテンツ」という2つの考えを持って取り組んでおります。まず弱いコンテンツとは何なのか。これはマーケティング的に成果が上がりにくいコンテンツだと思ってください。

例えば1つ目、単なる商品スペックに留まっているようなコンテンツや商品ページです。ノートPCを購入したいとなった時に、CPUはこれだけでメモリはこれだけみたいにスペックが書かれていると、詳しい方はそれだけでも性能が分かるかもしれませんが、初心者の方からすると、CPUが速かったら何が起きるんだ、メモリが多かったらどんな良いことがあるのかが分からないですよね。

そういう時に、CPUが速いとWordやExcelを同時に開きながら作業ができるとか、動画を書き出す時に3分ぐらいかかるものが1分で書き出せちゃいますよみたいなことが書かれていると、なるほど、このスペックはこう役に立つんだということが疑似体験できますよね。

それだけじゃなく、建前だけのお客様の声というのもあります。何かお客様が良いことを言ってるけど本当にそう思ってるのかなと思ってしまうと、その情報が実際のものとして捉えられなくなってしまうので、疑似体験につながりにくくなってしまうわけです。

検索流入稼ぎが主なSEO記事もそうですね。SEOで上位表示するためには検索ニーズに答えなきゃいけないので、ユーザーが知りたい情報をバーっと並べて整理すればそれだけで上位表示できるんですが、それだと自分たちが販売したい商品との関連性が弱かったりします。

そうなってくると、上位表示はしたんだけれども商品への訴求につながらないということになりがちです。検索流入は増えているけれどコンバージョン成果が上がらないというご相談をいただくこともありますが、それは単に商品紹介が非常に甘い、バナーだけくっついているといった状態で、記事の内容と商品の疑似体験エリアとの関連性がうまくできていないということがあったりします。

強いコンテンツの特徴

一方、強いコンテンツはどういうことかと言いますと、先ほどのノートPCの例で言えば、CPUの速さで一体どんなお得感があるのか、メモリが多かったら仕事においてどれだけ有利になるのかといったことがちゃんとイメージできるような紹介だったり、お客様の声でいくと建前だけじゃなくてぶっちゃけな意見が出てくるとかです。

例えば「業務効率化が実現できました」と言うんじゃなくて、「業務効率化が実現した結果、会社から早く帰ることができるようになって家族との時間を持てるようになりました」とか、「自分にすごく仕事に自信が持てるようになって毎日が楽しいです」とか、自分がどういうベネフィットを得たのかということを本音で語ってもらえるようなコンテンツというのは非常に疑似体験につながって強いと言えるんじゃないかと思います。

これらを対比させると、弱いコンテンツは商品の価値を疑似体験しづらいコンテンツ、強いコンテンツは商品の価値を疑似体験しやすいコンテンツと言えます。

本当にしつこいんですが、この疑似体験できるかが本当にマーケティングにおけるコンテンツの押さえどころになるわけです。皆さんが作ってらっしゃるコンテンツは、皆さんが訴求したい商品の価値をどれだけ見込み客の皆さんに疑似体験してもらっていますかという話です。

松尾茂起氏の自己紹介とコンテンツ体験の定義について

ここで、自己紹介をさせてください。私は松尾 茂起と申します。ウェブコンサルティングやウェブコンテンツ制作を行う、株式会社ウェブライダーの代表を務めている一方で、私自身、今も現場でコンテンツを作り続けています。

右下にある通り、ご紹介いただいた著書『沈黙のWebマーケティング』や『沈黙のWebライティング』も私が書きました。これらの書籍はありがたいことに、電子書籍を合わせると現在約23万部ほど売れています。

これまでウェブライダーでは、オウンドメディアの記事、動画、漫画、イベントのプロデュースなど、様々なコンテンツを作ってきました。私の会社の強みは、先ほどから何度も述べているように、商品の価値を疑似体験できるコンテンツ制作です。この「疑似体験できるかどうか」が、コンテンツの存在感を大きく変えるのです。

今日はコンテンツと向き合い続けてきた私が、この「疑似体験」すなわちコンテンツ体験(コンテンツエクスペリエンス)を最適化するコツを語ります。

コンテンツ体験とは、コンテンツを見た人がどう感じるか、どう理解してくれるかといった一連の体験を指します。

コンテンツ体験で意識すべきことは、その商品を使うと一体どうなるのか、「変化」が想像できることです。疑似体験とは、まさにその商品を使ったら、自分や自社がどうなるのかという「変化」が想像できることだと言えます。

商品の疑似体験、価値体験に繋がるコンテンツのパターンは、ざっくりとこの7つが挙げられます。この後、様々な事例をお話ししていきますが、それらはこの7つのパターンに集約されます。

  1. Before→Afterがわかる
  2. その商品を使った「ifの未来」をイメージできる
  3. リアル感がある
  4. 顧客が自分ごとにできる
  5. 共感しやすいストーリーが語られている
  6. プレイフルなエンターテイメント要素がある
  7. 顧客が利用しやすいコンテンツの形態(記事、動画、漫画など)

それぞれのパターンについては、また後ほど解説します。

マーケティングの定義と顧客が求める「変化」と「成果」

マーケティングとは「欲求が満たされる」と理解してもらうこと

ではここから本題に入ってまいります。本セッションには大きく3つの軸を設けました。1つ目は、今日はコンテンツマーケティングの話なんですが、マーケティングという言葉がつく以上、そもそもマーケティングとは何なのかということをしっかり押さえておく必要があります。

私なりの定義を皆様に共有させていただきます。松尾が考えるマーケティングの定義、それは「その商品が何らかの欲求を満たせると感じてもらう、理解してもらうために行う一連のアクション」だと考えています。

例えば自動的に動く掃除機のルンバを見た時に、「あ、ルンバを購入したら自分の部屋がこんな風に綺麗になるんだ」とか「自分が掃除してなくても勝手に動いてくれるってことは時短につながるな、楽だな」という風に、何らかの欲求をその商品が満たせると感じてもらう、理解してもらうための一連のアクションです。

それがコンテンツかもしれないし、広告だけで理解してもらえるケースもあるかもしれませんが、とにかく何らかの欲求を満たせると感じてもらうことが非常に重要です。

顧客の欲求=変化したい

この「何らかの欲求」という言葉をもう少しドリルダウンして、顧客の欲求とは何なのかという話をしていきましょう。商品を商品を購入する人たちが全員持っている欲求、それはものすごくシンプルに言うと「変化したい」ということです。

今の状態から違う状態になりたいからこそ商品を購入するんです。例えばお腹が減ったから何か美味しいもの食べたいというのも変化したいということに当てはまりますし、ルンバを購入するというのも、今部屋が汚くて掃除する時間がないから、ルンバを購入することによって部屋が綺麗になるだけじゃなく、ちょっとしたイライラもなくなるという風に変化できるわけですよね。

マーケティングにおけるコンテンツの役割を定義すると、結局「その商品を購入・利用することで何らかの変化が起きるということを伝える」というのがコンテンツの役割だと言えます。

変化の種類というのは、自分の心に変化が起きる、人生に変化が起きる、時間に変化が起きる、環境に変化が起きる、さらに本人だけじゃなく周囲の人に変化が起きるということもあります。

例えば自分的にはあってもなくてもいいけど、これを購入したら会社のメンバーが生き生きと働いてくれるだろうなとか、自分の恋人が喜んでくれるだろうなといったものも変化の中に入ってくるわけです。

私たちはこういったことを求めて商品を購入する、そしてコンテンツはまさにその商品を購入することでこういう変化が起きるんですよということを疑似体験してもらうように作らなきゃいけないわけです。それさえできれば、正直コンテンツというかWebページたった1ページだけでも問題ないです。

中途半端に情報を細分化してコンテンツを増やすよりかは、こういう変化が得られるという疑似体験につながるコンテンツを骨太な形でバーンと1つ作る方がよっぽど成果が上がります。

成果の再定義:顧客がなりたい姿になった結果

この「変化」という言葉をもう少し具体的な言葉に落とし込んでいきます。当然のことながら、今の状態より悪い変化とか誰も求めていないわけですので、その変化は「良き変化」でなければいけないわけです。この良き変化、つまり多くの方が求める変化のことを私は「成果」という言葉に定義しています。

成果という言葉はマーケティングの現場で売上や利益、顧客数、LTVなどとしてよく使われますが、この言葉を気をつけて使わなければ、どうしてもマーケティングが売り手目線になってしまうんです。

顧客が求める変化のことを私は「成果」と言う。成果とは何かと言うと、「顧客がなりたい姿になった結果」という風に私は定義しています。「なりたい」の「成」という言葉と、「なりたい姿になった結果」の「果」ですね。これをガッチャンコさせて「成果」という風に考えています。

この定義はこの後お話しするコンテンツの作り方にも非常に重要になってくるんですが、マーケティングの成果を今一度再定義していただきたいんです。売り手の成果(売上や顧客数)はもちろん重要ですが、それ以上に重要なのが「どれだけの顧客をなりたい姿に導けたか」ということです。

「顧客の成果」つまり顧客がどれだけなりたい姿になれたのかということを考えながら向き合ってもらうと、コンテンツを作る時にもかなり変わってきます。

コンテンツを作る際に「これを作るとこれだけ稼げるだろう」とか「これぐらいリードが取れるだろう」と考えながら作る方が多いと思いますが、実はその考え方をしていると、本質的な成果につながるコンテンツにたどり着けなかったりするんです。

自分でマインドセットを狭めてしまっているので、重要なお客さんがなりたい姿になれるようなコンテンツを作る、これがむちゃめちゃ強いです。そうするとお客さんの成果が上がって、当然のことながら売り手側の成果につながっていくわけです。

コンテンツの役割の整理

マーケティングにおけるコンテンツの役割を整理すると、その商品を利用することで何らかの「成果」が得られるということを、コンテンツで持って疑似体験してもらうということです。

疑似体験が非常に重要であり、何でもかんでも説明すればいいわけではありません。お客様目線で「なるほど、この商品はこういう成果が得られるんだ」と感じ、理解できるためのコンテンツが必要です。

コンテンツの役割をシンプルに表すと、以下のようになります。

商品を買おうか悩んでいた人が、コンテンツという媒介物を経ることで、「あ、こんな成果が得られるのか」という気づきや理解を促進し、笑顔になる。

しつこいようですが、コンテンツは、商品を購入することで、「こんなにハッピーになるんだ、幸せになるんだ、いろんなものが解決するんだ」と思ってもらう、きっかけを与える役割を担います。

例えば、集客のためにSEOコンテンツを作っても、そこで商品へのバナーを載せるだけで、商品購入後にどんな成果が得られるのかが分からなければ、商品は売れません。

SEOはあくまで集客のための手段であり、そのコンテンツは、商品を買ってもらうという最終的な目的、すなわち成果の疑似体験のためにあるのです。

ここまでの話で重要なワードがいくつか出てきましたが、もう1回言いますと、まず、疑似体験という言葉についてですね。「その商品を使うことによってどんな成果が得られるのか」を疑似体験してもらうのが重要と言いました。

Having・Doing・Beingの3軸と顧客欲求の深掘り

マズローの欲求段階と13の欲求

ここからこの成果という言葉をもう少し掘り下げていきましょう。顧客が得たい成果とは一体何なのか。

先ほどロボット掃除機のルンバの話をしました。ルンバを購入する、使うことによる成果って何かと言うと、部屋が綺麗になること、自分が掃除機をかけなくてもいいので時短につながること、そして自分の生活が豊かになる、無駄が省かれて自分がより賢く生きられる、イケてるじゃんと思えるみたいな感情的なものも成果に入ってくると思います。この成果を私は自分なりに細分化して言語化しております。

顧客が得たい成果とは一体何なのかということを話す上で重要になるのが、有名な「マズローの欲求6段階のピラミッド」です。以前までは5段階でしたが、自己超越欲求というのがあって6段階になりました。

下から生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求、自己超越欲求とあります。

  • 生理的欲求は、例えば「お腹が空いた」とか「心地よい状態になりたい」といったものです。
  • 安全欲求は、安全・安心な生活を送りたい。例えば「家に泥棒に入られたら困る(ので避けたい)」とか「人から怒られたくない」「命の危険にさらされたくない」とかです。
  • 社会的欲求は、「人とつながりたい」とか「仲良くなりたい」、「コミュニティに受け入れてほしい」など。
  • 承認欲求は、「自分の存在を認めてほしい」、仕事ができることを評価してもらいたいといったことです。
  • 自己実現欲求は、もう他の人の評価ではなく自分のやりたいことを追求するんだとか。
  • 自己超越欲求は、自分のやりたいことはやり尽くしたので、社会の一員としてDNAとして社会に対して貢献したいといったことですね。

この6つの欲求こそが私たちが商品を購入する理由の源泉にあるんですね。この6つの欲求を分解することによって、私たちがどんな成果を上げたくて商品を購入しているのか、さらに言うとどんな成果を求めてコンテンツを見に来ているのかが分かります。

それを分解して整理したのが13の欲求です。生理的欲求、安全の欲求、所属・愛の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求、自己超越の欲求という風に分けて、それぞれに含まれる欲求を分けました。

そうすると、私たちが商品を買う理由というのは「快楽・快適さを得たい」とか「苦痛を回避したい」とか「安全・安心でいたい」とか「仲間が欲しい」とか「他者から評価されたい」とか色々分かれるんですが、この分類された13の欲求を頭の中に入れつつ、我々はこれらの成果を実現したくて商品を買うということを知っておく必要があります。

ケーブルと水の購入事例

ここでイメージしやすいように、私の最近の商品購入のお話をさせてください。「世にも奇妙なマーケティング物語 第1話」というところで、最近うちのウェブライダーという会社のオフィスをリノベーションしまして、会議室もおしゃれにしたんです。

その時にある課題を持ちました。会議室のテーブルの上にモニターを置いていたんですが、接続するためのケーブルが5mぐらいあって長すぎると。長すぎると見た目がみっともなくなるので、短めのケーブルを買おうと思って2mのHDMIケーブルを探すことにしたんです。

Amazonに行って、目立たない色がいいから黒がいいかなグレーがいいかなと考えながらケーブルを購入したんですが、Amazonにはケーブルを買いに訪れたはずが、実はケーブル以外のものも買ってしまっていたというのが奇妙な話なんです。

ケーブルを購入したその10分後に、私はペットボトルの水も購入していました。それはLOHACOさんが出されている410mlのラベルのないミネラルウォーターで、グッドデザイン賞を受賞しているだけあってすごいおしゃれで、ラベルがないんです。私はこの水を見た時に、「これ、うちの会社に来たお客さんに出すとめちゃめちゃいいんじゃないか」というのがピンときたわけです。

元々は会議室をおしゃれにしたい、素敵にしたいという意味でケーブルの長さを整えようとしていました。その中でこの水に出会って、この水を会議の時に出せば「ウェブライダーさん、すごいちょっといい感じの会社や」「おしゃれな会社や」と思ってもらえるかもしれないというところにまで意識がいったわけです。

このような行動が起きた理由というのが、先ほどの欲求にあるわけです。端的に言うと私はそもそもケーブルを購入したいわけじゃなくて、「イケてる会議室にしたかった」わけです。

さらにシンプルに言うと、「イケてる会議室にすることによって、そこに来たお客さんに『ウェブライダーさん、やっぱりマーケティングの仕事してるだけあって色々センスいいわ』と思ってもらいたかった」という想いがあったわけです。

その想いに先ほどのロハコさんのお水が応えてくれた。なのでケーブルだけじゃなくボトルのお水も購入したみたいなことがあります。つまり先ほどのお水やケーブルは、私にとって「私がなりたい姿になるための商品」だったわけです。

さらに言うと、先ほどのお水やケーブルは私にとって「成果を上げてくれた商品」であり、成果が上がるということをケーブルやお水が写真や説明文で示してくれていたと言えます。

Being軸に基づくコンテンツ制作とユースケースの重要性

Being軸でコンテンツを考える

ここからセクション2「Being軸でコンテンツを考える」です。先ほど欲求の話をしましたが、それをもう少しシンプルな言葉に落とし込んでいこうと思います。

お客さんが商品を購入する際のニーズは「Having」「Doing」「Being」という3段階に分かれると考えています。Havingというのはその商品を手に入れたい、家に置きたいという心理です。Doingというのはその商品を手に入れて実際に使ってみたい、何かやってみたいという心理です。例えばルンバで言うと楽に掃除をしたいとか時間を有効活用したいという心理になります。

そして実は我々が商品を購入するとか使うという時は、さらに上に「Being」、なりたい自分が何らかの姿になりたい、変化したいという欲求があるんです。

ルンバを購入する方は、Being軸で言うのであれば、「日々の色々なストレスをなくしたい」「ルンバを導入して部屋の清掃を効率化してる自分を賢いねって周りから評価されたい」というようなところがあると思うんですね。

このピラミッドの中で実は重要になってくるのが一番上のBeingなんです。多くのコンテンツは、「ルンバ、ここから買えますよ、いくらですよ」といったHaving軸、さらに「ルンバを使うとこう動いてこれだけ部屋の掃除が捗りますよ」といったDoing軸に留まりやすいんですが、実はお客さんというのは何らかの姿になりたくて行動するわけです。

なので、できる限りBeing軸で訴求する方がいい。例えばルンバが動いていて、すごく素敵な部屋のインテリアでゆっくりとコーヒー飲んでるとか、そういう風にすると「あ、自分はこういう姿になりたい」ということが伝わって商品の購入につながると。そのBeingを感じてもらう、伝えるというのがコンテンツの役割になってくるわけです。

Being軸の実装事例:「文賢」

具体的に事例を使いながらお話ししていきましょう。弊社プロダクトの文章作成アドバイスツール「文賢」を例に取ります。

文章を校正したいからこういうツールを購入される方はいっぱいいらっしゃいますが、それはDoing軸なんですね。Being軸を考える上では、「それはつまり?」という質問を重ねていく必要があります。

文章を校正したい、それはつまりどういうことかと言うと、稚拙な文章を回避したい。

それはつまり、洗練された文章を書きたい。

それはつまり、仕事のできる社会人になりたい。

それはつまり、自信に満ちた賢い大人になりたい

というBeingがあると考えたので、このランディングページでは実はDoing軸の訴求が若干弱めになっていて、一方Being軸の訴求が強くなっています。

こちらのランディングページを見ていただければ分かる通り、正面を向いている女性が凛とした形で立っていらっしゃいますし、服も誠実な白を着ていただいているとか、本当に自信を持っている社会人然とした方に出演していただいています。ファーストビューが言葉で語らずともBeing軸をビジュアルで訴求しているという風になっています。

あとはオウンドメディアの中で「表記揺れ」というワードで上位表示している記事についても取り上げます。そもそもこういう細かい表記に気を配る方というのはどういうBeingを持っているのかというところから逆算してコンテンツを作っていったんです。

「表記揺れをなくしたい」というのは、それはつまり「雑な仕事をしてると思われたくない」、それはつまり「洗練された仕事をしたい」、それはつまり「自分の美意識を高めたい」という風なことがあると考えました。

記事の中では、表記の揺れを放置すると「せっかく丁寧な仕事をしていても、読み手に負荷をかけ、雑に思われてしまう」と伝え、丁寧な仕事をしたい人が「こうなりたくない」という感情に訴えます。

また、「表記の揺れを気にする度に、いちいち他の人に指摘するのは気まずい」という顧客の悩みに、「受ける側も指摘する側も良い気持ちがしないですよね」と共感のフレーズで寄り添います。

そして、文賢を使うとツールが表記の揺れを教えてくれるため、「周りの人にいちいち指摘しなくて済み、チームの雰囲気も良いまま、あなたが目指している丁寧な仕事が実現できますよ」と提案します。

この記事では、文賢というツールを使うことによって「こういう風なBeing、こういう風な成果が得られますよ」ということを伝えることに成功しているんです。

究極のBeingコンテンツ:ユースケース事例「父の日のワイン」

Being軸、成果が得られるその成果が分かりやすいコンテンツの究極系というのは何かと言うと、「ユースケース」です。活用ストーリー、お客様の声、導入事例といったものを全部指すんですが、みんなやっぱり製品や商品、サービスの使い方を知りたいわけです。

使い方を知った結果どうなるのかを知りたいというのが非常に強いので、極論を言うとユースケースコンテンツが骨太なものが1つあるだけでも、マーケティングにおける成果というのは全然変わってくると言えます。

先ほど冒頭でお話しした「父の日のワイン」の記事も、ある種のユースケースであることをお話しします。この記事では「こんな風にワインを贈ると素敵なことが起こるよ」という提案をしているんですが、例えば「お父さんに贈るワインは5000円前後にしましょう」とか「750mlのボトルを選びましょう」といった提案をしています。

なぜかと言うと、あまり高すぎるワインだとお父さんが「そんなお金ないのに大丈夫かな」と心配してしまうから、心配させないためには5000円前後がいいですよとか、ハーフボトルだと量が少なくてお父さんが全部飲んじゃうかもしれないから、750mlを送って「お父さん、一緒にちょっとワイン飲まない?」という声かけもやりやすくなるとかです。

これはどういうBeingに対して訴求しているかと言うと、父の日に何か贈るというのはお父さんに感謝の気持ちを伝えたい、お父さんともっと仲良くなりたいみたいなところにつながると思うので、そういうBeing、成果が得られるためにはこういう贈り方をしましょうという提案をしているわけです。

それをすることで、例えばこういうドラマが繰り広げられるかもしれません。

例えば娘さんがいて、お父さんと仲があまり良くなかったけども、社会人になって「社会人てすごく大変やな、お父さんはこんな大変な仕事をしながら私を育ててくれたんや。けれどもなかなかお父さんに自分の感謝を伝えづらいから、ワインをきっかけに仲直りしようかな」というような時に

「お父さん、枝豆好きじゃん。私、最近あんまりお父さんと会話してないけどさ、実はさ、いつも晩酌で枝豆食べてるの知ってたよ。だから枝豆に合うワインを選んでみたんだ。今晩一緒に飲んでみない?」

というようなことを、この提案は想起させているわけです。はっきりとこういうことを言いましょうと書いているわけでなく、この記事を読むとこういう風景が思い浮かぶようになっているわけです。

これはつまり、お父さんにこういうセリフを言える自分になってみませんか?というBeingだったりするわけです。

「父の日のワイン」というある種のツールをどのように活用すれば、自分の得たい成果を得られるかという、ある種のユースケースとして成立しています。なので、この記事はずっと色んな方に支持されて、検索でも上位表示し続けているわけです。

お客様事例のコンテンツ化のポイント

ユースケースでいくと一番分かりやすいのがお客様事例だったりすると思うんですが、このお客様の声をコンテンツ化する際に是非やってほしいのが、「Being訴求につながるコメントをいただく」ということなんです。

例えば「このツールはこうこうこういう風に便利です」と言っていただけるのもすごく嬉しいんですが、「このツールを使ったことによって、社内のチームワークが良くなって、みんなが生き生きと働けるようになって、毎日出社するのが楽しみになりました」とかまで書かれていると、得られる成果が分かりやすくなりますよね。

その意味では、インタビュー記事等を作る際にBeing訴求につながるコメントをちゃんともらうようにするのが重要です。

本音と建前のバランス

ただ、こういう顧客事例のコンテンツも先ほどのワインのコンテンツもそうなんですが、両方に言えることとして「本音と建前のバランス」というのは重要視してください。

我々というのは何かを意思決定する際に建前というものでクッションを設けているというのがあるんですね。

例えば服を購入したいという時に、誰かとデートをする際に着れる服が欲しい、一言で言うと「モテ服」を購入したいと思っていても、他の人から「あなたモテたいからこの服購入するんでしょ」と言われちゃうと、たとえ本当はモテたいと思っていても嫌ですよね。

本音というのは非常にデリケートなもので大切に扱わなきゃいけない。なので「あなたこうなりたいんですよね」みたいなことをあけすけに書いてしまうと逆効果になることがあります。

そこで、おすすめしたい4象限の図がこちらです。左が建前/右が本音、上がシンプル/下が情報量多めです。先ほどのような服の訴求だと、デートに着ていく服を買いたいと思ったケースにどういう風な言い方をすればいいのか、いろんなパターンを持っておいた方がいいわけです。
人によってはシンプルな本音をぶつけた方がいい場合もあるかもしれないし、むしろ本音は言わないでっていう人もいるかもしれない。だから、成果につながるコンテンツはいろんな言い回しや言葉を持っていた方が良いです。

大切なのは、そのお客様に敬意を持って、どういう言葉をかければよいのか、相手の感情にていねいに寄り添うことです。

コンテンツの7つの軸

ユースケースのコンテンツは非常に重要だというお話をしました。それはなぜかと言うと、疑似体験しやすい、商品の価値体験がしやすいからです。そういったことを頭に入れながら、今画面に映っているような7つの軸でコンテンツを考えてみてください。

  1. Before→Afterがわかる
  2. その商品を使った「ifの未来」をイメージできる
  3. リアル感がある
  4. 顧客が自分ごとにできる
  5. 共感しやすいストーリーが語られている
  6. プレイフルなエンターテイメント要素がある
  7. 顧客が利用しやすいコンテンツの形態(記事、動画、漫画など)

Before→Afterのコンテンツがなぜ良いかと言うと、単純に成果の変化が分かりやすい。疑似体験しやすいからです。

その商品を使った「ifの未来」、自分ではありえないと思っても「もしかしたらあるのかもしれない」というif軸で訴求すると、ifであれば、ついつい見ちゃいますよね。世にある映画やマンガともつながっていますが、ifの未来を提示されると案外、人は受け入れたくなるというのがあります。

リアル感がないと疑似体験につながらないわけですね。どれだけifの未来を提示してもリアル感がないと、「さすがにありえないでしょ」となってしまいます。

お客様が自分ごとにできるように、例えば「お客様こういうところで困っていますよね」と悩みを伝えることで共感を示すことができます。
これが5つ目の共感しやすいストーリーともつながってきます。

6つ目、プレイフルなエンターテイメント要素がある。プレイフルというのは楽にそのコンテンツを楽しめる、ワクワクする、といったことです。私たちはやはり楽しいものが好きなので、遊び心があった方が良いですよというお話です。

7つ目、コンテンツというのは記事もあれば動画だったり、音声もあればマンガもあるので、どの形態が一番いいのか選ぶとよいです。

これらを意識すると、例えば『沈黙のWebライティング』『沈黙のWebマーケティング』は、この7つ全てが実装されているコンテンツになります。

生成AIの活用と本日のまとめ

生成AIを活用したTips

ここでAIを活用した1つのTipsをご紹介しておきます。Being軸の訴求をしましょうと言われても、実際どのように訴求したらいいのか分からない方いらっしゃると思います。そういう方におすすめしたいプロンプトがあります。

それは「13の欲求に基づく訴求を考えてください」というプロンプトです。「(商品名)という商品があって、それには(特徴)という特徴があります。その商品が以下の13の欲求を満たすとすれば、どんな訴求をすればいいか」というのを、生成AI(ChatGPTなど)に聞くとヒントになります。実際やってみると結構面白い案を書いてくれるんです。これである種キャッチコピーとか広告文の参考にもなります。

もう1つ、顧客事例のコンテンツにおいて、Being軸に関するコメントをいただくためにどういう質問をすればいいのかというのも困ると思います。そういう際も生成AIに質問を考えてもらうと面白いと思います。

「そのお客さんがその製品を使ってこのあたりの欲求を実現したと仮定して、そのエピソードを引き出すための質問を考えてください」というプロンプトを投げることで、インタビューの時にこういう質問をするとBeing軸のコメントが得られるというアイデアが得られます。

例えば生成AIに対し、「そのお客さんがその製品を使ってこの辺りの欲求を実現したと仮定して、そのエピソードを引き出すための質問を考えてください」というプロンプトを投げます。

  • 質問例(快楽・快適の実現):「文賢を使ってる作業がスムーズになったと感じることはありますか?」と聞き、お客さんが「あります」となったら、その回答がそのままBeing軸のコンテンツに使えるものになります。

インタビューの質問も適当に考えるのではなく、Being軸の回答を得るための質問を考えるのが重要です。

本日のまとめ

本日のまとめです。マーケティングにおいてコンテンツが必須である理由は「商品の価値を疑似体験してもらうため」。

お客さんの3段階のニーズとしてHaving、Doing、Beingがありますが、全てのお客さんは何らかの姿になりたいというBeingを持っています。できる限りBeing軸で訴求してください。

Being軸で訴求することを頭に入れれば、7つの軸でコンテンツを作りやすくなります。

そして、骨太のユースケースコンテンツ、Being軸のコンテンツが1つある方がよっぽど成果が上がります。ウェブライダーは今まで作ってきたコンテンツの数は少ないんですが、マーケティングの成果につながるコンテンツを作ってきました。それはBeing軸を常に念頭に置いているからです。

商品の体験価値につながるコンテンツは検索ユーザーのニーズを満たしやすいため、検索結果でも上位表示しやすくなります。

Q&A

池田:もうほぼ時間通り。ありがとうございます。お疲れ様でした。さて、残り10分ぐらいを使って、皆さんからいただいている質問も踏まえて、最後ちょっと僕が代行で松尾さんに深掘りの質問をいくつかさせていただきます。

ここまでやることが明確で、こうやれば成果が出るよというものが体系的にまとめられているにも関わらず、なぜ世の中のほとんどのコンテンツというのは未だにイケてないのでしょうか?これは何でなんですかね?

松尾:そうですね、多分理由が2つあると思っていまして、1つ目はまずそのマーケティングされている方が本当にその商品を使いこなしていないというか、そこの商品で自分が成果を上げたっていう体験をしていないっていうのがまず1つあると思うんですね。

で、もう1つは先ほど申し上げた通り、事例コンテンツなんだけど事例が深掘りできていないというか、本当に建前だけで終わっちゃってて、本音を言えばいいってわけじゃないですけどそこがちょっと弱いっていうのが大きいんじゃないかと思います。

池田:冒頭のところでもありましたけれども、マーケターあるあるですが、「売ろう、売ろう」というのが強く出すぎて、マーケティングのゴールは売ることだ、売上を獲得することだという極めて売り手発想になってしまう。

松尾さんもおっしゃってましたけど、売上というのはお客様に買っていただくことによって得られる結果でしかないから、お客様の変化を成果と捉えなさいと。あなたの成果じゃなくて顧客の成果にコミットするんだと。

このマーケター全員がやっぱりまだまだ売り手発想が強すぎちゃって、顧客成果にコミットしたコンテンツを作っていけば結果的に顧客の数とか売上がついてくるというところになりきれていないというのが全ての元凶なんでしょうか。

松尾:そうですね。ちょっと言い切るのもあれですが、往々にして結構大きいと思いますね、そこが。

池田:松尾さんは例えばコンサルとかに入った時に、すごいお客さんが売り手発想のカルチャーの時、どうやってマインドセットを変えるというか、コミュニケーションすると変わっていくもんですか?

松尾:そうですね。皆さんやってらっしゃると思うんですが、やっぱりその商品が本当にいいものであれば、ものすごい大ファンの方がいると思うんですよね。その方がまずいますかというところの掘り出しから、じゃあその人はどう言ってますかというところだと思うんです。

案外、そういう本当の大ファンの方と言いますか、インフルエンサーと接点が取れてなかったりとか、あと本音で話せてないとかっていうのが結構見て取れるっていうところがあります。

あとやっぱりいい商品って、誰かがそれを使ってる話を聞いたらこっちも欲しくなると思うんですよね。「いや、めっちゃこれ良くて、もうやばいから」みたいな時の方が「いいな、私もそうなりたいな」と思って商品が売れたりすると思うんですよ。

なのでなんか実はすごくマーケティングってフィジカルなものというか、うなりながらやるよりも、そういう本当にいい体験をした人の話を聞きに行って、ご飯一緒に食べるとかの方がいいかもしれないですよね。

池田:B to Cであれば自社の商品サービスの熱狂的な顧客にデプスインタビューをやるとか、B to Bであれば契約期間がすごく長いお客様の話を徹底的に聞くみたいなところがやっぱりスタートですかね。

松尾:そうですね。あとはやっぱりヒアリングする時にどうしてもみんな綺麗な言葉を使うことになっちゃうと思うんです。そこでの建前の先にある本音をどれだけ引き出せるのかみたいなところもありますよね。

池田:あんまり杓子定規なビジネスビジネスしたみたいな感じよりも、少し砕けたカジュアルな雰囲気で本音が出てくるような感じでヒアリングするみたいなところも大事であると。

あと、「明日からどうしよう」みたいな方も結構いらっしゃると思うんですが、何から手をつけたらいいか分からないという方に対しては、まずはこれからやってみたらいかがですかっていうファーストステップって何になりますか?

松尾:一番簡単なのは多分「動画」を作ることだと思っていまして、そのユーザーさんと対談していて、ユーザーさんがちょっと興奮して色々こう、その商品の魅力を語ってくれているような動画ってむちゃめちゃいいんですよね。

お客様の事例で、そのお客さんは「これむっちゃいいです」ぐらいしか言ってないんですけど、でもそれを見た方が「そんなにいいんだったら」と問い合わせくださったりとかする事例があって。

動画がいい理由は、これテキストとかにしちゃうとちゃんと書かなきゃいけないんですが、動画だったら「いやこれ本当にもう言葉にできないですけども、語彙力なさすぎて申し訳ないですけども、いいんですよ」っていう熱量だけでもいいんですよね。

パッケージングする意味では動画から始められて、それをもう少しフォーマルにテキストにするとか記事にするとかがいいかなと。

池田:ユースケースを訴求するコンテンツの場合はまずは動画から開始するととてもいいんじゃないのと。

あと次に、コンテンツマーケティングの課題としては、現場の担当者の方は広告だけでCPAを下げながら数増やしていくのはもう限界だと感じている。コンテンツで「今すぐ客」だけではなくて「そのうち客」も育成をしていきたいと思っている。

でも、「君がこのお金かけてこのコンテンツ作ることによっていくら売れたの?」って言われちゃうと、「いくら今月売れた」とかで考えちゃうと、全額広告に出稿していた方が見栄えがよく見えるケースの方が多くなっちゃう。そういう時ってどうやって打ち返しますか?

松尾:そうですね。結局こうユースケースをコンテンツ化しましょうってところが一番重要になってくるんですよね。で、そのユースケースのコンテンツはLPとかでも掲載できるわけですよね。

そうなった時に、LPにユースケースとなるコンテンツを掲載した時と掲載してない時の反応とか、掲載した時の方がコンバージョン率が上がったりとか売れていくんですが、そういうのを見せて「やっぱりこれいいでしょう」みたいなところで、まずはゴールから成功させていくっていうのがやっぱり重要で。

池田:最初にLPがあってそこにコンバージョンレートを上げるためのコンテンツを組み込んでいく場合っていうのは、ある種費用対効果として分かりやすいんですね。

じゃあ一方で、例えば掃除機なんて今壊れてなかったら今は買わないじゃないですか。来年再来年に壊れたらこれも買おうかなっていう人もコンテンツは必ず育成をしているわけですよね。

その意識態度を変容させているっていったところは、松尾さん的に説得をする機会ってそこまでないですか?

松尾:一応世間一般的にはリードを集めておきましょうとか、メルマガの登録者数とかになりますね。とはいえCRMでずっとじゃあメルマガを流しておけば本当にお客さんのニーズって生まれるのかというと、そこもちょっと懐疑的な部分があって。

そこで私が結構お勧めしたいのはイベントですよね。今欲しくないけど、例えばルンバで言うと今時のAI時代の主婦の掃除最適化みたいなイベントがあって、なんか別にルンバ欲しくないけど面白そうだから行ってみると。

で、行くとそのイベントの中でルンバが今すごい進化しててこれめっちゃ面白いんですよっていう風になって、そこで初めてナーチャリングみたいなのが行われて欲しくなるみたいなことがあると思うので。

なんかそこまで言ってお客さんに提案しないと、リードを増やしましょうって言っても、多分勘のいい経営者の方って「そんなリード増えてもお客さん欲しい時に買うだけだからな、一体それでメルマガ見ていつ欲しくなるんだ」みたいな話になっちゃうと思うんですよ。

だから、まずその最初の一手としてこれが大事なんだと、でも一手打たないと今みたいな結果絶対生まれないですよっていう風に言えるので、比較的提案が通りやすくはなるのかなと。

池田:流れをきっちり意識させて、パスがつながっていく一番最初の初手の部分をやるんですぜっていう、これをやることによって最終的にこのゴールを獲得できるんだっていうところをちゃんと理解してもらうということですね。

松尾:そうですね。あとは、この作る中でのユースケースコンテンツとか1つにしても、これずっと使えるわけじゃないですか。広告的にも使えますしっていうその再利用性とかレバレッジをちゃんと言えば案外通りやすくなるかなっていう。

池田:ありがとうございました。さあ、ということで皆さんあっという間に時間になってしまいました。こちらの『沈黙のWebマーケティング』と『沈黙のWebライティング』ですね、手にとっていただけると十分にもとを取っていただけるんじゃないかという本になっていますので、ぜひポチってみてください。

今日はコンテンツマーケティング全般についてウェブライダー代表取締役の松尾さんにお話を頂戴いたしました。改めましてありがとうございました。

松尾:ありがとうございました。

池田:皆さんまた次回お会いいたしましょう。お疲れ様でした。さよなら。

【公開期限:~2026/1/23】デジタルマーケティング連続講座⑦ 選ばれる存在になるためのコンテンツ体験最適化のプロセス