
CEPsと想起の地図 連続講座2026⑦ 理論でおさらいするCEPsと想起
概要
最終回は、もう一度理論に戻ります。第1回で見た地図を、実際に手を動かしたあとに見直すと、なぜその順序でなければならないのかまで理解できます。
土台になるのは、人の思考についての見方です。人の思考には、速くて自動的に働く仕組み(システム1)と、遅くて意識的に働く仕組み(システム2)の2つがあります。日々の判断のほとんどをこなしているのはシステム1で、生活者がいちいち考えずに毎日を送れているのはこの働きによるものです。買い物に当てると、候補を出すのはシステム1、比べるのはシステム2です。比べる段階がどれだけ丁寧でも、比べられるのはシステム1が出した候補だけです。この仕組みがわかると、なぜ比較検討が始まる前に勝負がついてしまうのか、なぜ思い出しやすさがこれほど選択を左右するのかを説明できます。
その候補が浮かぶ場面が、入口です。入口には、選ぶ行動が始まるきっかけ(目的CEPs)と、買う場面の条件(購入CEPs)の二層があります。この2つを分けて捉えられると、施策を打つべき地点が変わります。二層を前提に、入口を枝、その先に浮かぶブランドを実として描いた「想起の樹」をどう読むかまで扱います。
その入口で自社が何番目に浮かぶか(ブランド想起)が、深さです。深さを決めるのは、抽象的な好意ではなく、入口とブランド連想の結びつきの強さです。結びつきは、3つの層でできています。その入口で得られる変化を生活者の側の文脈で書いた「連想の一文」。その一文を本当らしくする「証拠」(RTB)。そして、想起の瞬間に自社だと見分けさせるロゴ・色・形・音などの「目印」(独自資産)。深さをこの三層で捉える視点まで解説します。
最後に、カテゴリー全体のなかで自社の立ち位置を評価する「ブランドアドバンテージ評価」です。どの競合に対して、どの場面で強みを取れているのか。広さと幅を見渡す見方に、入口ごとに何番目に浮かぶかという深さを加えて読みます。ここまでに扱った指標を、理論の側から捉え直します。
理論は、最初に聞くと抽象的で、実務を経たあとに聞くと武器になります。6回分の手触りを持った状態で見る地図は、第1回で見たものとは違って見えます。
【この回で扱うこと】
- システム1とシステム2の働きと、速い思考が選択を支配する理由
- 目的CEPsと購入CEPsの二層構造と、想起の樹
- ブランド想起とブランド連想、そして連想の一文と証拠、目印からなる深さの三層
- 広さと幅に深さを加えて自社の立ち位置を読む、ブランドアドバンテージ評価
講師からの一言
ビジネスや実務で失敗の確率を下げ成功率を高めるには、再現性の担保が不可欠であり、その再現性は本質を抽出した「理論」をベースにすることで確立されます。本講座では、これまで学んできた実践知を最終回の理論学習で総仕上げし、実践と理論をしっかりと連結させます。両者を深く結びつけることで軸が定まり、今後どのような場面でもブレずに成果を出せるようになります。
登壇者
池田 紀行株式会社トライバルメディアハウス 代表取締役社長1973年横浜生まれ。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント等を経て現職。大手企業300社以上の広告宣伝・広報・販売促進を支援。宣伝会議マーケティング実践講座 池田紀行専門コース、JMA(日本マーケティング協会)マーケティングマスターコース講師。NewsPicks主催『売上の地図』ブートキャンプ講師。年間講演回数は50回以上、延べ5万人以上のマーケター指導に関わる。近著『売上の地図』(日経BP)、『業界別マーケティングの地図』(日経BP)、『マーケティング「つながる」思考術』(翔泳社)、『自分を育てる働き方ノート』(WAVE出版)ほか著書・共著書多数。
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