振り返り記事
公開日:2024年2月7日

社会から求められるマーケターになろう~「あなただけのキャリア」を切り拓くための考え方~ 振り返りレポート

目次

「個」の時代と呼ばれるようになって久しくなり、自分の強みや、やりたいことがキャリアを選択するうえで重要視されています。

一方、「明確な強みも無く、やりたいことも無い」と感じている方も少なくありません。果たして、キャリアは個々の才能やスキルだけで決まるものなのでしょうか。

今回は、ニュージーランド航空、ユニリーバ、アウディ・ジャパン、ヤフーを経て現職のソフトバンク株式会社 新規事業開発統括部 統括部長を務める井上 大輔さんをお招きしました。井上さんは『マーケターのように生きろ』(東洋経済新報社)の著者であり、本書で「人の期待に応えることを追求する」ことを「マーケターのように生きる」と呼び、「生きる知恵」としてのマーケティングについて解説されています。

井上さんとトライバルメディアハウス代表の池田が、社会から求められるマーケターになるための考え方や行動について議論した内容をまとめました。

「自分自身の価値」を高めるには

「自分の価値を高めたい」と考えるとき、主語は自分であることがほとんどです。一方で、マーケティングにおける価値は顧客が決めるものです。キャリアの場合、顧客は評価者であったり、同僚であったり、働きたい企業の人たちであったりなど、環境や目指す状態によっても異なります。

周囲の人たちから「評価されていない」と感じる場合、自分自身に価値がないと考えるのは誤りで、あなたが自分の価値だと思っていることと、相手があなたの価値だと思っていることが食い違っている状態になっていることが考えられます。

自身がそのような状態にあると感じる場合、「会社が自身に求めている価値はなんだろう?」を考えてみると良いと池田は言います。求められている価値と、自身が提供できる価値をすりあわせる作業は、意外と多くの人が行っていません。

「自分の価値を高めたい」と考えるとき、ありがちな失敗は手段が目的化してしまうことです。たとえば、マーケティングスキルを高めるために本を100冊読もう、プレゼンテーションスキルを高めるために講座に通おう、などです。目的としているスキルがあなたに対して会社が求めている価値ではなかった、という場合もあれば、スキルは正しくてもその方法が求められていないということも考えられます。あなたができることと会社から評価されること(求められていること)は別だということをおさえておきましょう。

井上さんはご自身のnoteや書籍を書く機会も多いですが、読者の方から「エモくてストーリー仕立てに書いてくれる書き手だから、読みやすくスッと入ってきやすく、その上でとても役に立つ」と言われることがよくあるそうです。そして、今はそれを自身の個性だと感じられており、この個性は「自分らしさ」を追求し続けていたばかりでは見つからなかったかもしれない、と井上さんは言います。

この個性は人が見つけてくれた(価値を感じてくれた)個性です。個性とは、相手に求められることを追求した結果として生まれることがあるという一つの例ではないでしょうか。また、自身が自分らしさを追求した結果、それに多くの人が価値を感じてくれていることの方が実は少数派なのかもしれないと池田は言います。活躍できている多くの人は、この例のように相手が見つけてくれた個性を発揮している方が多いのかもしれません。

このように他人に応えるキャリアはわかりやすく、実行しやすいにも関わらず、自分の価値は自分自身で見つけなければならないという考え方が大勢を占めています。他人に求められることに答えた結果、他人から利用されることや、便利屋扱いされることを恐れるからかもしれません。求められること、利用されること、依存されることはそれぞれ違います。目指す状態は「あなただからやってほしい」と周囲から求められること。池田は遠くからでも目的的に人がやってきてくれる商圏が広い専門店のようだと言います。

また、井上さんは、ikigaiという自己啓発書が海外でベストセラーになっている、と紹介しました。2人のスペイン人が日本でフィールドスタディーして、日本人のいう「生きがい」を言語化した本です。その本によると、ikigaiとは、「好きなこと・得意なこと・求められること・見返りのあること(What you can be paid for)」の4つの交点だ、と言います(引用:Ikigai: The Japanese Secret to a Long and Happy Life)。好きなことだけではなく、求められることや見返りのあることを追求しよう、という考え方は、海外からも注目されている日本人ならではの生きる知恵でもあります。

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