振り返り記事
公開日:2024年2月19日

仕事における“真の答え”の見つけ方~マーケティング業界を生き抜く思考と行動法~ 振り返りレポート

目次

「自ら考え動く」ことは、仕事において不可欠なスキルです。

どのような状況でも「自ら考え動く」ことを実現し、継続できれば、優秀なビジネスパーソンやマーケターに近づく可能性は高まります。一方で、時には「何から考え、どのように行動すれば良いか」と悩み、思考停止に陥ることもあります。

特に、マーケティングのように環境がめまぐるしく変化する場合、市場、競合、自社の商品・サービス、顧客、広告、PRなど、成功(売上や利益の獲得)への道筋を定めるためには、自分の頭で考え、行動できる力が不可欠です。自身の経験が通用しない状況下でも、最大限のパフォーマンスを発揮するためには、どのような思考や行動が必要なのでしょうか。

今回は仲山考材株式会社 代表取締役および楽天グループ株式会社 楽天大学学長であり、『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方: カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』(小学館)『組織にいながら、自由に働く。 仕事の不安が「夢中」に変わる「加減乗除(+-×÷)の法則」』(日本能率協会マネジメントセンター)『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則――『ジャイアントキリング』の流儀』(講談社)など、複数の著書を持つ仲山進也さんをお招きしました。

答えにたどりつくためにどのように「観察」をすべきか、どのように思考することが成長に寄与するのかなど、自らの力で自分自身を育てるためのヒントをお話しいただきました。

観察力が低くなる要因とは

仲山さんの書籍『アオアシに学ぶ「考える葦」の育ち方: カオスな環境に強い「頭のよさ」とは』(小学館)において、自身で考え成長するフレームワークとして「観察・判断・実行」のループを解説されていますが、今回は「観察」について主に解説いただきました。

観察力を上げるためには、まず観察力を低くする原因を減らすことが大事です。それが「視差」。視差とは、同じもの(事象)を見ていても、人によって見えているものが違うことを言います。この視差が生まれる要因は、大きく以下の3つです。

・視点を知らない
・視点が固定されている
・視座が固定されている

視点を知らない
「顧客の視点になって物事を考えよう」はマーケティングの現場でもよく使われる言葉です。このときの「視点」とは何を指しているのでしょうか。価格や機能、サイズ、色など「商品のどこを見ているか」という意味で使っている人がいる一方、「買いたい」と思っても奥さんの決裁をもらわないと買えないというような「立場」の意味で使っている人がいます。ここが混ざると、話がわかりにくくなります。
そこで、視点・視野・視座の定義を整理してみましょう。

視点は、どこを見るか。
視野は、どこまでの範囲が見えているか。
視座は、どこから見るか。

仲山さんはこのような用語法を採用しています。

「顧客の視点になって考えよう」の場合でいうと、「商品のどこを見るか」が「顧客の視点」、「立場」は「顧客の視座」となります。

用語を整理したところで、話を「視差の原因」の1つ目、「視点を知らない」に戻しましょう。仲山さんは、ある動画を使って「Aという視点で見てください」と参加者に伝えました。動画が終わったあと、「Bが出てきたのに気づいた人は?」と尋ねると、気づいた人と気づかなかった人に分かれました。

それが「視点を知らないと見えない」ということだといいます。たとえば、売り手が知っている「商品を見分ける視点」を顧客が知らなければ、顧客は商品を見分けることができないわけです。

視点が固定されている
視差の原因の2つ目、「視点が固定されている」状態の典型は、固定観念や偏見です。視点(見ているもの)が固定した状態を「ロックオン」といいます。ロックオン中は、その視点以外のものが「ロックアウト」されて見えにくくなります。視点固定から解放されるためには、心理的柔軟性が大事です。反対に、凝り固まっている人のことを仲山さんは「心理的ガッチガチ」と呼びます。

以下のような内容に覚えはありませんか? 該当すると感じる場合は、視点が固定され、観察力が下がっているかもしれません。

自分ではなく「上司が心理的ガッチガチな状態で、新しいことにチャレンジできない」と悩む方も少なくないでしょう。ただ、その場合は「上司のせいでチャレンジできない」と自分自身が心理的ガッチガチになっている可能性もあります。実は動き出せる選択肢があるのに、見えなくなっているのかもしれません。

このように心理的ガッチガチになってしまうリスクは誰にでも存在しており、心理的ガッチガチという状態を知り、時に自分がそうなっていないか顧みることが大切です。

視座が固定している
視差の原因の3つ目は、「視座が固定されている」状態です。マーケティングの現場で陥りがちなミスは、売り手の視座にどっぷり浸かりすぎたまま、顧客の視点や視座を想定してしまう(顧客の立場に立ったつもりが、立てていなかった)ことです。それを「どっぷり症候群」と呼びます。

仲山さんは参加者に、北海道の雪景色の写真を見せました。その写真をSNSにアップしたのは大阪から十勝に移住した人で、投稿コメントには「地元民はスルーする景色」と書かれています。いつもその景色を見慣れている人にとっては、その価値に気づけなくなっているわけです。

どっぷり症候群の解決策はシンプルで、今の視座を出てみることです。

以上、観察力を下げる要因である「視点を知らないこと」「視点の固定」「視座の固定」について解説しました。「人は、自分が見たいものだけを見ている」という心理的な盲点を自覚することが重要です。

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