ブランド実践論①ブランドを見つけ、育て、強くする方法~ブランディングを機能させる姿勢と考え方~ 振り返りレポート
抽象度が高い概念である「ブランド」についての理解と、具体的な打ち手の検討に役立つ知識の習得を目的とした連続特別イベント「ブランド実践論」。
全3回中第1回となる今回は、『ブランディング・ファースト ――広告費をかける前に「ブランド」をつくる』(クロスメディア・パブリッシング)の著者であるグロウ・リパブリックの宮村さんをゲストにお招きしました。
ブランディングは決してイメージ戦略ではありません。企業としての指針を経営レベルで打ち出し、社内のスタッフへ浸透させ、そしてスタッフが生み出すあらゆる施策の結果として、ブランドを理想の状態に近づけることができるのです。
そして、予算・品質・価格だけでブランディングを行うとすることも誤りです。マーケティングに携わるみなさんは、ブランディングは経営戦略そのものであり「ブランディングを行うための理想状態」を理解しておくことが欠かせません。
多くのブランドづくりの現場に携わった宮村さんならではの知見を解説いただきました。
宮村さんの考える「ブランド」とは
宮村さんが代表を務めるグロウ・リパブリックでは、ブランドの支援と自社ブランドづくりを行っています。ブランドにはさまざまな定義があることを前提としたうえで、宮村さんは「ブランディングは幸せになりたい人を幸せにすることができるもの」であり、一番大切なことは「つながり」を作ることであると言います。
良い「つながり」を持つことができているブランドは、信頼され、愛され、選ばれ、働く人を輝かせることができる、と宮村さんは言います。
マーケティング理論におけるブランド論だと、インターナルコミュニケーションの話にまで及ばないことが多く、社員というステークホルダーを包含した取り組みであることを整理できる「つながり」という整理は腹落ちしやすいと池田は言います。
逆に良いつながりを持てていなければ、現在の市場環境ではリスクにさらされているかもしれません。
- コモディティ化によって、商品・サービスが持つ機能のみで差別化することは難しくなっている
- 人口減少により、限られたパイを奪い合う競争になっている
- 情報大爆発時代において、興味を持ってもらうことが難しくなっている
- 金銭的な価値よりもやりがいを重視する人が増えている
このような環境下において、「つながり」をつくっていくことは、選ばれやすくなるということに直結するため、最終的に“儲かる”ことができると宮村さんは言います。
一方で、ブランディングは経営手法の一つであり、売上を上げていくために必須ではありません。ブランディングは時間がかかるものであり、効果や成果が目に見えにくいものであるため、及び腰になってしまう企業も少なくありません。
それでも宮村さんは「「つながり」がなければ価格競争に巻き込まれてしまう。「つながり」があるほど顧客が増え、単価が上がり、リピートが増えるから、結果的に儲かることができる」と言います。