売上とオウンドメディア ~自社保有メディアを最大限活かすには~ 振り返りレポート
オウンドメディアとは自社が保有するメディアのことを指します。
自社のメディアだけに、多様な目的を設定でき、目的に応じたブランドコンテンツを届けることができるオウンドメディア。オウンドメディアの戦略策定は、目的や読み手の設定、運用体制の構築、どのような効果を狙い、どのように効果測定を行うのかなど、検討しなければいけないことが山ほどあるものの、明確な正解が存在しないのも事実です。
一方で成功しているオウンドメディアは、多くのファンを引きつけており、集客や売上にも寄与しています。オウンドメディアをマーケティングに寄与するくらい成長させるためには、どのような考え方が求められるのでしょうか。
今回の特別イベントでは、KIRIN公式noteの立ち上げ人であり、『オウンドメディア進化論』(宣伝会議)の著者、キリンホールディングス株式会社 コーポレートコミュニケーション部 平山さんをゲストに迎え、中長期的にブランド価値を向上するためのオウンドメディアについて、理想の姿や始め方、効果の考え方について解説いただいたイベントの内容をまとめます。
オウンドメディアの現在地と活用方法
オウンドメディアとは、自社発行の広報誌やパンフレット、カタログ、自社Webサイト・ブログなど、自社が保有し自由に発信できるメディアです。
2019年以降、オウンドメディアにおいて新しい潮流が生まれ始めていると平山さんは言います。その象徴的なメディアとして挙げられるのがトヨタ自動車の『トヨタイムズ』やユニクロの 『Life Wear magazine(Webだけでなく紙媒体を店頭にて配布)』です。これらに共通しているのは、企業の内側や姿勢、目指す未来を積極的に発信していることです。
また、SNSにおいても企業姿勢を真摯に発信することで共感を得られる事例が増えています。たとえば、スープストックトーキョーが離乳食無料提供を開始した際に巻き起こったSNS上での議論に対し、企業理念にもとづく声明を打ち出したことで大きな共感を集めました。
他にも、『うまい棒』が値上げしたとき、販売元企業であるやおきんが値上げの理由について真摯に発信することで、感謝の声が多く寄せられました(生活者にとってネガティブな事象であるにも関わらず、です)。このように、企業姿勢を誠実に伝えることで、企業と顧客がより深くつながった事例が目立つようになりました。
このような変化によって、中長期的に企業ブランド価値を向上させるような役割がオウンドメディアに求められるようになったと平山さんは言います。具体的には、以下のようなものです。
- 企業のミッションなど「考え」を伝える場
- インターナルを意識したコンテンツ
- 「社会」の視座に立ちパーパスを浸透
まとめると、オウンドメディアは以下の図のように分類することができます。
かつて、左軸(社会や個人を起点としたオウンドメディア)は存在していませんでした。具体的には、左上に位置するのが『KIRIN公式note』であり、左下が『トヨタイムズ』や『Life Wear magazine』です。この四象限について、企業はどれを取捨選択すべきかを求められていると平山さんは言います。
今回の記事では、上記の四象限で言うところの左軸に位置し、企業が中長期的にブランド価値を向上させるための「コーポレートコミュニケーション的活用」を主眼においたオウンドメディアについて解説します。