振り返り記事
公開日:2024年10月1日

思考力改善トレーニング ~クリティカルシンキングを身につけよう~ 振り返りレポート

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自身で企画を考えたときや、会議で意思決定を行ったときには合理的な選択をしたつもりでも、後から施策の結果を振り返るとなぜか上手くいかなかった、という経験は多くの方がお持ちではないでしょうか。

私たち人間の頭は、しばしば間違った考え方に進んでしまうような働きをしてしまうことがあります。自身の「考える力」を高めるには、このような「頭の弱点」について学び、そこから生まれる誤りを避けられるようになることが必要です。

そこで今回は『思考力改善ドリル: 批判的思考から科学的思考へ』(勁草書房)の著者である関西大学 総合情報学部 教授の植原 亮さんをゲストにお招きして、人間に備わる「頭の弱点」や、思考を適切に進めるための「思考ツール」を使いこなすためのポイントについて解説いただきました。

脳には世の中で起こっていることを解釈する枠組みがあります。「四本脚と背もたれがある木製の物体」を見たら「椅子」だと解釈するように、経験則によってそれは成り立っています。しかし、それは私たちが見たいものを見たいように見る・解釈したいように解釈してしまうという“バグ”の発生にも寄与しています。

人間が持つバイアスに目を向けることは、マーケティングの戦略や戦術を見誤らないことにもつながるはずです。

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「スキーマの呪縛」

以下の問いを考えてみましょう。

「電車で足が悪い老人が乗車した。しかし誰も席を譲らない。なぜか」

スキーマとは、問題を効率的に解決するための「ひとまとまりになった知識の枠組み」を指します。スキーマがあることで、人間は日常におけるさまざまな問題解決をスムーズに行うことができます。たとえば、レストランで席に座り、注文をして、食事のあとに会計をして退出するという一連の行動は、スキーマがあることで無意識かつ自動で思考を進めることができているからできることです。

一方で、スキーマは思考を縛り、ものの見方を制限してしまうという側面を持ちます。上記の例題において「席を譲らない」という一文を見たときに満員電車の状況を思い浮かべた人も少なくないはずです。

この例題の回答のひとつは「空席があるから」です。

この例のように、書いていないことまで、過去の経験則に伴って自動で補ってしまう点がスキーマのポイントです。スキーマが余白や文脈、不足情報を勝手に補ってしまうことで、問題が解けなくなってしまう現象を「スキーマの呪縛」と呼びます。

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